米大統領選の共和党候補指名の獲得に向けて不動産王のドナルド・トランプ氏が勢いづくなか、隣国カナダの島が、同氏の大統領就任の場合には米国人を「政治難民」として受け入れる用意があると呼び掛けている。

 キャンペーンを行っているのは、大西洋に面するカナダ・ノバスコシア半島先端の沖合に浮かぶケープブレトン島。地元ラジオ局のディスクジョッキーが発案したもので、島の観光当局ウェブサイトとタイアップしたウェブサイトも制作。トランプ大統領の誕生を危惧する米国人に避難先を提供するとアピールしている。

 ウェブサイトには「移住先を探すのに、ドナルド・トランプが大統領に選ばれるまで待っていては駄目です」「今すぐ始めましょう。そうすれば大統領選の当日はバスに飛び乗るだけでいい。女性は妊娠中絶が認められ、イスラム教徒ものびのびと歩き回れるケープブレトンで新しい生活を始められます。ここにある『壁』は、とても手頃な住宅の屋根を支える壁だけです」といった誘い文句が踊る。

 また、米メーン州の東400キロに位置するこの島の自然美を紹介しているほか、おいしい食べ物やヨット遊び、ホエール・ウオッチングなども楽しめると強調。さらに皆保険制度などもうたっている。

 製鉄所や炭鉱が閉鎖されたケープブレトン島は、近頃不況に見舞われている。しかし同島の観光サイトには過去1週間で、同ウェブサイトの通常の年間訪問者数よりも多い30万人以上が訪れたという。