「ディズニーマジック」も終焉を迎えるのか――。東京ディズニーリゾート(TDR)の4~9月の入園者が1437万人と、前年同期に比べて5%減少したことが、こんな憶測を呼んでいる。

 TDRの客数が減少するのは珍しいことではない。これまでも、周年イベントで客数が増えた後、1~2年は反動で停滞するという傾向が続いてきた。

 特に今回は、2013年度のTDR開園30周年イベントに続いて、2014年度もシンデレラ城のナイトショー「ワンス・アポン・ア・タイム」や、冬季の「アナと雪の女王」イベントがヒットし、過去最高の入園者数を記録した。そのため、今年度は「息切れが出て当然」(外資系証券アナリスト)との見方が多い。

■ 競合のテーマパークは軒並み好調

 それでも今回の客数減が驚きをもって受け止められたのは、競合のテーマパークが同じ時期、軒並み好調に推移したからだ。

 大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンは654万人(前年同期比18%増)と、過去最高の入場者数を更新。長崎のハウステンボスも客数が前年比1割増と好調をキープしている。訪日外国人客の増加など、追い風が吹く業界にあって、TDRの独り負けは際立つ。

 運営会社であるオリエンタルランドは、客数の減少について、「ワンス・アポン・ア・タイム」が2年目を迎えたことに加え、猛暑や雨天が多かったため、客足が想定より鈍ったと説明。ハロウィーンやクリスマスなどのイベントで盛り返す前提で、期初計画の通期3040万人(前期比3%減)を据え置いた。

 とはいえ、ここ数年は年度上期の段階で客数が会社想定を上回っていただけに、目標達成には黄信号が灯る。開業以来のTDRの神通力がいよいよ衰えたのか、それとも別のとらえ方をすべきか。株式市場では今後のパーク運営を見据えた戦略との見方が浮上している。

 東京ディズニーランドと東京ディズニーシーそれぞれの入園者数は公表されていないが、「待ち時間などを見ていくと、2014年は、イベントで集中的にバリューアップしたランドが減少したのに対し、シーは減っていない」(野村証券の山村淳子アナリスト)。この“ランド軟調・シー健闘”が、これからのTDRの戦略を象徴しているという。

 オリエンタルランドとしては、2023年度までに5000億円規模をTDRに投下する。目玉は各パークでのゾーン開発だ。ランドではファンタジーランドを2倍に拡張、シーでは「アナ雪」の世界を体験できるエリアを含む、新ゾーンを導入する。

 シーは拡張用エリアを活用するが、ランドは既存のファンタジーランドと、隣接するトゥモローランドの一部をリニューアルする。導入時期は2017年度以降で、早ければ2016年にも開発に着手するとみられる。工事が始まれば、ランドは一部閉鎖を余儀なくされ、収容人数も減少する。

 オリエンタルランドは「段階的に開発し、入園客への影響は最小限に抑える」方針だが、ここまで大規模な再開発は開園以来初めて。客数減など、閉鎖に伴う影響は読み切れない部分が大きい。

 隣接する本社の一部機能を2016年に移転するのに伴い、パークを拡張するのではないか、との観測も流れているが、キャパシティが減るランドの受け皿として大きな役割を担うのは、シーだろう。「既存エリアに変更がないシーに人を寄せてランドの客数を減らすことは、リニューアル時の客の滞留や動線を考えると合理的」(山村アナリスト)。

■ ディズニーシーの集客力を徹底強化

 実際、既存イベントを継続しているランドに対し、シーは今年度上期にイースターイベントを初めて開催。ハロウィーンも新規イベントを導入している。さらに2016年はシー開園から15年を迎える。絶大な集客力を発揮する周年イベントを予定しており、ランドの収容能力低下を補うには格好のタイミングだ。

 シーは乗り物系のアトラクションが少ない一方、ショーが豊富で、アルコールが提供されるため、大人向けのイメージが強い。が、4月には3歳未満も楽しめる、ステージショーをリニューアル。2017年春にはキャラクターが人気の「ファインディング・ニモ」のアトラクションも導入予定で、子連れ客を意識した取り組みを強化する。

 開発の詳細は年内に発表される。オリエンタルランドは、工事中も客数を維持、増大させていくことができるのか。ファンや株主からの過大な期待が待ち受ける。