南京大学の研究チームが、遺伝子を操作して筋力を通常の2倍に高めた犬を誕生させることに成功したと発表した。筋ジストロフィーやパーキンソン病といった人の難病の予防に役立つ可能性もあるとしている。
この研究は10月中旬、分子細胞生物学会誌に発表された。遺伝子操作で生まれたのは2匹のビーグル犬で、それぞれ「ヘラクレス」、「天狗」と命名。筋肉の発達を抑制するミオスタチン遺伝子を胚の段階で取り除き、筋肉量を増やした。
研究チームは犬の胚約60個に化学物質を注入して遺伝子を操作し、このうち2個でミオスタチン遺伝子の除去に成功した。生まれた犬は体が大きく、脚の筋肉が著しく発達している。
「悪い副作用は表れていない。犬も苦痛は感じていない」と研究者は話し、頑丈な犬を作り出せば猟犬や軍用犬としても使えるかもしれないと解説する。

研究チームは今後、2匹がこの変異を次の世代に引き継ぐことができるかどうか調べる意向。CNNの取材に対し、人間の遺伝子も犬と同じように操作して運動能力や戦闘能力を高められる可能性はあると語る一方、「人間の遺伝子操作には別の問題が生じる」と指摘した。

米国立衛生研究所の専門家はこの研究について、結論を急ぐべきではないとしたうえで、「(遺伝子操作に成功した)犬の数がまだ少ない。さらに多くの犬が同じプロセスを経てどのようなバリエーションが現れるのか興味深い」と語った。

こうした変異は人間でも事例が報告されている。2003年にドイツのベルリンで生まれた男の子は、生まれながらミオスタチンが欠損していると診断された。医学誌によれば、この男の子は異常に筋肉質で、太ももや上腕部の筋肉の発達が著しいという。

5歳にもならないうちから強さとたくましさを増し、「重さ3キロのダンベル2個を、両腕を水平に伸ばした状態で持ち上げて維持できる」力があったと同誌は伝えている。
遺伝子操作に対しては倫理問題もつきまとう。英動物愛護団体の関係者は中国のビーグル犬の研究について、「強くさせたり走る能力を高めたりすることのみを目的とした動物の遺伝子操作は絶対に容認できない」と強調した。

ただし「人の病気の治療を助ける目的の研究であれば正当化できる余地は大きい。それでも遺伝子操作の影響はあまりに大きく、やはり代替の方法を模索する必要がある」と話している。