妊娠期間の長さが赤ん坊の発育に影響を与えるのは知られているが、誕生月も大人になってからの健康面に大きく関係していることが発表された。
6、7、8月生まれの子供は背が高くなる
これらの調査を行ったのはケンブリッジ大学や英国医学研究審議会の研究者たち。彼らは以前の調査における、季節が赤ん坊の体重や健康状態に影響を与えるという結果から、子供の誕生月も関係があるのではないかと仮定。
イギリスの国民健康データを有するUK Biobankの膨大な情報を基に、約45万人の男女の成長と発達具合を比較した。
その結果、6月、7月、8月に生まれた赤ん坊は出生時の体重が比較的重く、大人になってからも背が高い傾向にあることが判明。さらに夏に生まれた女の子は思春期の始まりが遅くなり、成長しても健康状態が良好な人の多いことが明らかになった。
太陽を浴びて生じるビタミンDの影響か
研究者らによれば月や季節によるこの違いは、母体が太陽を浴びることで蓄積されるビタミンDの差によって生じるのではないかという。
実は皮膚が太陽を浴びると、体内にはビタミンDが発生すると言われている。しかもこの栄養素は骨を丈夫にしたり、脳にも影響を及ぼすため認知症を予防したり、免疫力を高めたりするそうだ。
つまり6月から8月は日差しが強くなるため、母体で多くのビタミンDが生成され、それが胎児に大きな影響を及ぼしている可能性があるということだ。
誕生月が健康管理の指標にもなる
研究に携わったジョン・ペリー氏は報告の中で「私たちは大変驚き、喜びました。(略)今回の結果は、誕生月が発育や健康管理にとって活用できる指標であることを示しています。ただこのメカニズムについてさらに研究する必要があります」と語っている。
誕生月によって大人になってからの健康にも差が出るとは、それだけ胎内にいる時の環境が、人間にとって非常に重要なのだろう。