『笑点』は、今年5月で50年目に突入したが、視聴率が20%を越えることもあり、人気は健在だ。
しかし、大喜利コーナーで丁々発止のやり取りを繰り広げるメンバーたちの知名度こそ高いものの、“落語家”である彼らが落語をする姿を目にすることは同番組ではほとんど見られない。
これについて、芸能評論家の市川大介氏は語る。
「かつては、演芸番組で落語を目にする機会もあったのですが、落語はある程度時間を取らなければ成立せず、今のテレビに向いてない。深夜放送やBS放送では多少あるものの、落語を扱う番組が減ったため、自然とテレビで落語家が落語を演じる姿を目にする機会がなくなったというわけです」
では、テレビではあまり見ることのできない、『笑点』メンバーの落語の実力とはどんなものなのか?
「メンバー7人の平均年齢は65歳とかなり高めですが、みなさん意欲的に高座を務めています。3ヵ月間病気療養していた桂歌丸師匠は、復帰した高座でおよそ1時間にも及ぶ“怪談噺”をかけています。これは相当な気力と体力がなければできません。また昨年、喉頭ガンを患って一時休養していた林家木久扇師匠は、寄席でもおバカキャラは全開。自分の師匠である林家彦六の物真似を交えた“彦六伝”を十八番とし、常に笑いの絶えない高座です」
そんな超ベテラン2人に負けず劣らず、他のメンバーの活躍も目覚ましいという。
「三遊亭小遊三師匠は、小気味のいい語り口が持ち味。威勢のいい啖呵(たんか)やリズム感あふれる会話で、観客を江戸の世界へと導きます。三遊亭好楽師匠は、このところ弟子育成の手腕も光っています。二番弟子の“兼好”は今や人気落語家に成長。また、ピン芸人だった“末高斗夢”を一門に迎え、“三遊亭とむ”として二つ目に昇進させています。三遊亭円楽師匠は、『笑点』で見せるブラックキャラとは違い、高座はスマートで分かりやすい。観客の求めているものが何かを瞬時に嗅ぎ分ける感覚が鋭いですね」(前出の演芸ライター)
そして噺家として脂が乗っているのが、春風亭昇太師匠と、林家たい平師匠だ。
「昇太師匠は、古典落語、新作落語どちらもこなし、自由な発想で展開される独自の世界観が幅広い世代に人気です。俳優としても『軍師官平衛』、『花燃ゆ』とNHKの大河ドラマにも連続出演しており、多方面での活躍も目立っています。たい平師匠は、サービス精神あふれる明るい芸風。噺の随所に現代的な笑いのエッセンスを散りばめ、観客を飽きさせません。2人とも、『笑点』では、まだまだ若手ですが、落語界を牽引する存在であることは間違いないでしょう」(同演芸ライター)
毎週、“大喜利”というチームプレーでお茶の間に笑いを届けている『笑点』。50年という長い間、多くの国民に支持され続けてきたのは、こうしたメンバーの落語家としての個々の実力と日々の研さんがあってのことだろう。