「SF」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。

ほとんどの人は、小説や映画などの、サイエンス フィクション(Science Fiction)だろう。「少し不思議」であれば、藤子F不二雄ファンか。

国民生活センターでは、「SF商法」に注意を呼び掛けている。

この場合の「SF」とは、集まった人を高揚させて高価な商品を買わせる催眠商法のことで、これを最初に行った「新製品普及会」の名前に由来するそうだ。

同センターでは、催眠商法自体は減っているものの、これをきっかけに、次々と高価なものを買わせる「次々販売」「過量販売」に関する相談が増えているとして、注意喚起を行っている。

SF商法に関する相談件数は、2011年度の2260件から、2014年度には1860件と減少しているが、その内の「次々販売」「過量販売」に関する相談は、2011年度の238件から、2014年度の308件と増加傾向で、割合としては、約10%から約16%と増えている形だ。

数千万円が不明に

資料では4つの事例を掲載している。

いずれも布団や健康食品などを多量に購入しているが、その中でもひどいと思われるのが、業者が車で迎えに来て、高価なものの契約をさせていたケースだ。

被害者は70代の女性で、相談者(被害者の子供)によると、「口座にあった母の退職金の数千万円がなくなっていた」「健康食品や布団など合計1,000万円以上購入」とある。

被害者の女性は「2年くらい物忘れが激しく、最近は人の見分けがつかない状態」とあり、それに業者が付け込んだのだろう。

契約当事者の内、70歳代が54.8%、80歳代が35.6%、60歳代が11.9%と、圧倒的に高齢者が多い。性別では女性が82.1%、男性が17.9%だ

購入金額の平均は約162万円、既支払額の平均額は約170万円で、500万円以上のケースが47件もあり、被害の大きさが推測できる。

相変わらずのアドバイス

高齢者には、「不要なものは断る」「本当に必要なものか考える」、周囲の人には「高齢者の話に耳を傾ける」「成年後見制度の利用を考える」「行政に相談する」のアドバイスを掲載している。

これまでのアドバイスとさしたる違いがあるとは言えず、被害がなくならないことを考えると、もはやこれだけでは不十分だろう。

こうした商法に対しては、特定商取引法の改正などにより、クーリングオフ期間や対象の拡大などが行われてきた。

業者側に対して、より重い罪が科せられるような法の改正も必要ではないだろうか。