2013年以降、中国からの日本企業の「撤退ラッシュ」が始まった。JETRO(日本貿易振興機構)によると、13年の日本の対外直接投資は1350億ドル(約16兆700億円)と、対前年比で10・4%も増加した。それにも関わらず、対中投資は同32・5%減少の91億ドル(約1兆830億円)に過ぎなかった。

対中投資が大きく落ち込む反対側で、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国への投資が236億ドル(約2兆8090億円)と、大きく伸びた。何と、対前年比で3・2倍である。また、中国総務省によると、14年の日本の対中直接投資(実行ベース)は対前年比38・8%減少。統計が比較可能な1985年以降、最大の落ち込み幅を記録した。

15年に入り、日本企業の中国撤退が次々に発表されている。1月31日、パナソニックが中国におけるテレビ生産から撤退することが報じられた。パナソニックは縦型洗濯機の生産について、静岡県袋井市の工場に戻すなど、「日本回帰」の姿勢も見せている。2月22日には、エスビー食品が中国(大連)におけるカレールウなどの生産を打ち切ることを発表した。

日本企業が中国の生産拠点を閉鎖していっているのは、人件費の高騰や政治的リスクの高まりで、中国生産が「割に合わない」状況になっているためだ。そもそも、日本企業が中国への直接投資を拡大したのは、「安い人件費」に魅力を感じたために過ぎない。すでに、中国の人件費はインドネシアやフィリピンの2倍近くにまで上昇している。沖縄県・尖閣諸島で「日中の軍事衝突」がささやかれる状況で、人件費が上昇した中国で生産を継続することに、各企業の経営者は意味を見いだせないのだろう。