米国で公衆無線LAN(Wi-Fi)の普及が進んでいる。データ通信がWi-Fiに移行する中、いずれ消費者が携帯電話会社と契約する必要はなくなるかもしれないとの見方もある。

Wi-Fiは自宅や飲食店にとどまらず、列車や飛行機、自動車、クルーズ船にまで装備されるようになった。米CATV大手コムキャストは、全顧客のルーターを公衆Wi-Fiのホットスポットに転換できるようにした。

スマートフォンでWi-Fiを使って電子メールを送受信したり動画を閲覧したりすれば、携帯電話会社が提供するデータ通信サービスの使用量は減る。今ではWi-Fi経由の通話や携帯メール送受信も可能になった。

調査会社のマッコーリー・グループがこのほど発表した調査によれば、Wi-Fiを常に積極利用しているユーザーは、毎月の携帯電話料金を30ドル(約3400円)以上削減できている。

つまり携帯電話会社の必要性は薄れる。欧州では実際に携帯電話会社離れが進んでいる。だが米国ではまだ、携帯電話会社から完全に離れられるほどにはWi-Fiは普及していない。公衆Wi-Fiのセキュリティーに不安を感じるユーザーも多い。

しかし新世代のホットスポットではWi-Fiと第4世代(4G)LTEサービスのシームレスな切り替えが可能になり、セキュリティー対策も向上する。マッコーリーの予想では、Wi-Fiのセキュリティーに対する不安は2016年までに解消される見通しだ。

「あと数年もすれば米国のほとんどの消費者は、LTE契約を打ち切ってCATV会社のWi-Fiサービスを使うことを検討するようになる」とマッコーリーは予想する。

ブロードバンドサービスを提供するCATV大手は既に動きを見せている。各社が提携して全米のWi-Fiネットワークを相互に結び、海外展開も拡大する。

これは米携帯電話大手にとって大きな脅威になるかもしれない。例えばベライゾンのモバイルデータ通信は2018年までに最大で4分の1がWi-Fiに移行する可能性があり、年間14億ドル(約1600億円)近い減収につながるとマッコーリーは予想する。

そうした減収を補うために、携帯電話各社は競ってコムキャストのようなCATV大手との提携を模索することになりそうだ。