警視庁麻布署は21日、20代女性の携帯電話を一定期間使用不能にしたとして、器物損壊の疑いでジャニーズ事務所のタレント山下智久(29)を書類送検した。

 今回の事件について、法律のプロは首をかしげる。板倉宏日大名誉教授(刑法)は「器物損壊がおかしいとまでは言わないが、窃盗、または強盗が適当ではないか」と厳しい目を向ける。

 山下が人の所有物を持ち逃げしたのだから「盗み=窃盗容疑」が適当というわけだ。そこに暴力的行為が加われば「強盗容疑」になる。受け止め方は人それぞれだろうが「物を壊した」のと「物を盗んだ」のでは世間に与えるイメージは大きく変わる。

「『物を持ち去ったけど、数日後に返したのだから、窃盗じゃありません』なんて甘いと思いますよ。それがまかり通れば、泥棒しても後で返したら誰でも罪に問われないことになる。警察は甘いと言わざるを得ない」と板倉教授は警察の姿勢に疑問符をつける。

 示談が成立しているため、起訴はされない公算が大きいが、罰金や科料が命じられる略式起訴の可能性もわずかに残っている。

「山下さんは任意で事情聴取を受けたと思います。逃亡のおそれもないので、身柄送致ではなく、書類送検になったのでしょう。万が一、略式起訴された場合は罰金20万円くらいになる」(板倉教授)

 いずれにせよ、被害者側がその場で警察を呼ばなかったのは「山下さんにとって不幸中の幸いだった」(板倉教授)。窃盗や強盗容疑で現行犯逮捕されていれば起訴されていてもおかしくない警察沙汰だったといえる。