近年爆発的に普及したスマートフォンやタブレットのおかげで、時間や場所を選ばずに仕事できるようになってきた。これによる利点は非常に大きい反面、仕事から逃れられないという事態にもなっており、常にプレッシャーに曝されるようになってきた。

 今回ドイツで行った研究によると、自宅で仕事のEメールを確認したり、休みの日に上司からの電話を受けたりすることは、精神的にも肉体的にも健康を害することがわかったという。

 ドイツの研究所が57,000人を対象にヨーロッパで実施した調査によると、通常の勤務時間以外や週末に働く人は不眠、頭痛、疲労、不安神経症、胃の疾患に見舞われやすいことが判明した。また筋肉障害、心臓や血管の病気にも関係しているそうだ。

 研究チームを率いた公衆衛生学者のアンナ・アーリンホース博士によれば、通常の勤務時間をわずかに越えて働くだけでも健康に悪影響を与えるらしく、その相関関係は非常に強いという。

 ここ数年、一部の企業や政府機関からは、携帯端末が生み出す負担に関して懸念が寄せられている。家電通販会社のピクスマニアが2012年に実施した調査では、オフィスワーカーの90%以上がEメール機能が備わった携帯電話を所有しており、3分の1が1日当たり20回以上メールの送受信を行っている。こうした作業により、例えばスマートフォンを所有すると1日に2時間分仕事が増えるそうだ。

 一方で携帯端末の負担を減らそうという取り組みも広がりを見せており、先月、自動車製造大手のダイムラーは従業員100,000人のパソコンに、休日に送信されたEメールを自動的に削除するソフトウェアをインストールした。

 これは従業員にしっかり休養をとってもらい、元気に働いてもらうことを狙いとしたものだそうだ。また2011年にはフォルクスワーゲンが休日中のサーバー使用を停止してメール送信を止めたほか、フランスでも最近時間外のメール送信に関する規制が取り入れられた。

 人々が健康を維持し、活力を持って働くためには、仕事を完全に忘れられる自由な余暇が必要である。私生活を仕事が浸食しないよう、厳格なルール作りが必要であると、研究者は警告している。