子どものころ、算数が苦手だったという人は、もしかするとそれをお母さんのせいにできる口実ができたかもしれない。

カギとなるのは甲状腺ホルモンの一種であるサイロキシン。このホルモンの主成分やヨウ素で、不足すると幼児期の発育や精神面の発育に影響を及ぼすことが分かっている。

オランダ、〈アムステルダム自由大学医療センター〉の小児科医Martijn Finkenらの研究チームは、1196人の子どもに関して、妊娠12週時の母親のサイロキシン値を記録し、その後、子どもが5歳になった時点で言語能力と算数能力を調べるテストを行った。

言語能力には影響なしだが…

その結果、妊娠初期に母親のサイロキシン値が低かった子どもは、家庭環境などを考慮しても、算数の能力が平均を下回る確率が2倍になることが分かった。言語能力については、母親のホルモン値による違いは出なかったそうだ。

妊娠初期にサイロキシン値が低い場合はサプリで補うべき

こうした問題が大人になっても持続するのかどうかは現時点は分からず、今回、被験者となった子どもたちを今後もフォローアップしていく予定だそうだが、Finken医師は「妊娠初期にある母親のホルモン値を測定し、サイロキシン値が低い場合はサプリメントで補うことで、問題を解決できるかもしれない」と述べている。

サプリメントでホルモンを補う方法はこれまでにも取られてきたが、あまり効果を見せていない。それは、摂取する時期が遅いからだと同医師は考えており、「妊娠4週以内に摂取するべき」と主張する。

というのも、その時期の胎児はまだ自分でサイロキシンを作ることができず、母親から与えられるホルモンに依存しているからだ。

伝統的に海産物を多く摂る日本人の場合、ヨウ素不足になることはあまりないようだが、そういう食品が好きではないという女性は気に留めておく必要があるだろう。

アムステルダム自由大学医療センターの研究は、先日開催された〈欧州小児内分泌学会〉で発表された。