非喫煙者がたばこの煙(副流煙)を吸ってしまう「受動喫煙」の影響は今や誰もが認識するところ。オフィスを含め、公の場ではほとんどたばこが吸えなくなり、分煙化、禁煙化が進んでいる。

家庭でも室内ではたばこを吸わない、換気扇の下で吸っているという喫煙者も多いだろう。しかし、副流煙の影響は予想以上に“しぶとい”ようだ。

一般家庭の副流煙残留物を調査
カナダのヨーク大学、スペインのロビーラ・イ・ビルジリ大学らの研究チームは、喫煙者がいる家庭といない家庭の両方について、副流煙残留物、すなわち、たばこの副流煙が消えた後も、壁、床、テーブルなどの表面に付着して残る重金属や発がん物質を含む有毒な成分の濃度を調べ、発がんリスクを推定した。

具体的には、各家庭のハウスダストを集め、複雑なマトリックスから目的の成分を高精度に分離できる「包括的2次元ガス・クロマトグラフィ」と呼ばれるシステムを用いて、発がん物質であるN-ニトロソアミンと「たばこ特異的ニトロソアミン(TSNA)」の濃度をを検出した。

これらの物質は室内の家具や床の表面に堆積したニコチンが大気中の亜硝酸等と反応すると、大気中に再び放出されるもの。

6割以上の家庭が幼児の発がんリスク基準を上回る結果に
発がん性物質に関する最新資料適用し、とりわけ1~6歳のリスクに関して見たところ、喫煙家庭の77%(約4分の3)、非喫煙家庭の64%(約3分の2)が米国環境保護庁が定めるリスク基準の上限を超える状態にあることが分かった。

たばこがなくならない限り、リスクは消えない
この結果を受け、研究者は「非喫煙者の家庭からこれだけの濃度のTSNAが検出されている事実は、外部の喫煙環境で形成されたTSNAが長期にわたって存続し、非喫煙者に付着して家庭に持ち込まれていることを示唆している」と述べ、「受動喫煙のリスクは、タバコが世の中から消滅しない限りなくならない」と指摘している。

ヨーク大学らの研究結果は『Environment International』に発表された。