エコで安い。しかも5倍の寿命を持つバッテリーが開発される

まさに至れり尽くせりと言うべきだろう。
南カリフォルニア大学の研究チームが、従来型のリチウムイオンを使ったものよりも約5倍長持ちするバッテリーを10分の1のコストで作り出すことに成功し、注目を集めている。

有害物質を含まない、安価でエコなバッテリー
このバッテリーは製造コストを大幅に抑えるため、水を基本としながら自然由来の物質を加えて製造されている。廃棄の際に特殊処分が必要となる金属や有害物質の類いは一切含まれていない。しかしながら、従来型のバッテリーと比べて寿命が非常に長く、従来型の約5倍に当たる約5ooo回の充電に耐えることができて、15年間の運用が可能とされている。
開発者の1人である南カリフォルニア大学のSri Narayan教授が同大学のサイト上に出したコメントによると、今回発表された新バッテリーには炭化水素から生成されたキノンという植物や菌類、バクテリア等で見られる自然由来の化合物が使われているという。
さらに、Narayan教授は、将来的には地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素からキノンを生成することが可能になるかもしれないとも述べており、環境問題への貢献が期待されている。

再生可能エネルギー産業での活躍に期待
この開発チームが米科学誌「Journal of Electrochemical Society」に発表した報告書によると、このバッテリーはスマートフォン等の端末用に開発されたものではなく、発電所などでの使用を目的として開発されたそうだ。
現在、太陽光や風力発電を含む再生可能エネルギー産業では安定した電力の供給が最優先課題となっており、それを可能とするエネルギー貯蓄設備の整備が急務とされている。
そのため今回開発に携わった研究者たちは、その製造コストの低さと寿命の長さ、それに環境面への配慮等から、このバッテリーが自然エネルギー産業の電力系統で活躍し、同産業のさらなる成長に貢献することに期待を寄せている。
現段階でこのバッテリーは試作段階にあるため、開発チームは現在もこのバッテリーの改良に取り組んでいる。近い将来の実地テスト実施を目指しているそうだ。