1.チーズ
よく言われることだが、フランスは今でもチーズ愛好家たちにとっての最終目的地だ。かつてシャルル・ド・ゴールは、246種類ものチーズを作る国を一体どうやって治めればいいのかと尋ねたという。恐らくド・ゴールは、フランスの人々は有機体であり、いずれ革命を起こすと考えたのだろう。
ルブロションなど、一部のフランス製チーズは、悪臭を放ち、液体がにじみ出てくるので、一見腐敗しているように見える。米国人には、口当たりが良く、固いミモレットでさえ恐ろしかったようで、米国は昨年、ミモレットの輸入を規制した。
優れたチーズは世界中どこにでもあるという主張に反論する者はいないが、フランスではわざわざ遠くに行かなくても、近所の店でおいしいチーズが簡単に手に入る。
2.ショッピング
パリのデパートには、安いノーブランド商品から高級ブランド品まで何でもそろっており、おしゃれな人は服を試着する前にドレスアップする必要性を感じるほどだ。
毎年1月と6月末のセールでは、法律ですべての店が同時に値下げすることが義務付けられているため、信じられないほど割安価格で購入できる。その一方で、フランスはパン屋や食料品店など、小規模で家族経営の多い近所の店がチェーン店に駆逐されないよう守ってきた。
3.美術館
パリといえば、世界で最も有名な美術館であろうルーブル美術館のある場所だが、フランスの美術館文化はパリだけにとどまらず、はるか遠くにまで広がっている。
ロワール地方は、間違いなく世界で最も美しい美術館が集まっている場所だ。この地方には、いくつもの見事なタペストリー(室内装飾用の織物)が所蔵されているシャンボール城や、大変ロマンチックな雰囲気のシュノンソー城など、美しい城が点在している。
あまり知られていない城の中にも素晴らしい城がある。例えばシノン城は完全に保存された古い町の上に建っている。この城を訪れると、門に上り、イギリスの侵入者をフランスから追い出すよう訴えるジャンヌ・ダルクの声が聞こえるようだ。
4.列車
フランスの列車は飛行機より速い。
昼食のためにパリから地中海沿岸に向かうなら、TGV(超高速鉄道)がおすすめだ。3時間後、飛行機の利用者たちが行方不明の荷物を探している頃、億万長者たちが所有するヨットを眺めながら、ロゼワインを楽しむことができるだろう。
TGVは国内を縦横に走っており、オンラインで予約すればセカンドクラスよりも少し高い値段でファーストクラスに乗れる。フランス人が求める豊かな生活は、スローライフとは限らない。
5.交通渋滞
「私はそっちへ行く。あなたに私は止められない」というのが一般的なフランス人ドライバーの運転時のエチケットに対する考えだ。たしかに説得力はあるが、やや怖い気もする。
誰しもが行きたい場所に行くことで事故や交通渋滞が起きているなら、それはみんなの責任と言えるのではないか。
フランス人は道路を走る他の車の存在を認めようとしない。車に具現化された、この自由に対する極端な信仰のおかげで、夏の土曜日や国民の祝日には、同時に休暇に出掛ける人々の車で国全体が巨大な交通渋滞と化す。
6.礼儀正しさ
フランス人、特にパリの人々は、フランス語を話せない旅行者と接する際、不愛想なことで知られる。より正確に言うと、フランス人は、非の打ちどころのない礼儀正しさと、驚くほどの素っ気なさを同時に見せる技術を習得しているのだ。
もし上品なホテルの支配人が片眉を上げながら客に「ムッシュー」あるいは「マダム」と声をかけたら、その支配人はその客に敬意を表すると同時に、客がその場にいることを不審に思っているのだ。
しかし、フランス流の礼儀正しさのこつさえつかめば、怖い物はない。黄金律は単純で、会話の最初に明るく「ボンジュール」(夕方には「ボンソワール」)と言うだけだ。
これは単にこんにちは(こんばんは)という意味ではない。これはフランスで一般に認識されている暗号のようなもので、「はい、私はここにいます。私は礼儀正しく振る舞い、あなたに敬意を表しますので、あなたも私に敬意を表し、さらに親切にしていただければ幸いです」という意味だ。これがすべてボンジュールという一語に集約されている。そして実際に効果を発揮する。
7.セクシーさ
「セクシー」の明確な定義は難しいが、多くの人にとって「フランス人であること」は1つの実用的な定義といえる。
フランス語のアクセントに加え、フランスの人々が男女を問わず、やや無頓着で、人生を謳歌しているのは大変魅力的だ。
またフランスではセクシーな場面や描写を至る所で目にする。例えばフランス映画では、少なくとも2つのバストと、4つのヒップを含めることが法で義務付けられていると言ってもいいくらいだ。
フランス人は男女ともに人を引き付けるためのルールをよく理解しており、「遊び」をやめることはまずない。フランス人にとって、周囲に誰かがいる時に自分をセクシーかつおしゃれに見せ、記憶に残る印象を与えることは義務といえる。
8.高級感
高級品というと、つい口から「フランスの」という言葉が出てしまう。
最近、高級品を生み出すフランス人の才能は、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、モエ・エ・シャンドンなどの高級ブランドにとどまらず、さまざまな分野に広がっている。
その効果は、パリに数十軒ある、のりの効いたエプロン姿のウエイターがいるおしゃれなカフェや、タラジュールなど手頃な価格のスパホテルで感じることができ、価格はさほど高くなくても、億万長者になったような気分が味わえる。
このフランスの「ライトな高級感」は世界中で模倣されている。
9.顧客サービス
フランスには「お客様は王様」という格言がある。フランスの人々が王たちに何をしたかは周知の通りだ。
たしかに、フランスのサービスは時に客に対して不愛想で無関心に思えるが、それでも素晴らしいと言える。
不機嫌そうなウエイターも決してあなたを嫌っているわけではない。単に、彼の専門分野に関して彼は専門家で、あなたは素人ということだ。横柄な態度のデパートの販売員についても同じことが言える。
他の国と違い、フランスではこれらの職業は一生使える技能が身に付く生涯の仕事となりうる職業なのだ。客がすべきことは、辛抱強く、笑顔で自分の希望を接客係に伝えることだ。フランスの人々は、自分が知りたいことを知っており、それを伝えるために最善を尽くしてくれる人に敬意を表する。
10.グローバル化
フランスのグローバル化政策は世界一だ。同国が膨大な時間を費やし、海外からの侵略者たちによってフランス経済がつぶされていると不満を述べているせいで、全世界にどれだけフランス製品が浸透しているか誰も気づかない。
例えば最近、自分が使っている電気を誰が供給しているか、自分が利用している輸送システムの所有者が誰か、自分の国の軍隊に誰が食料を供給しているか、自分の住んでいる都市の公衆便所を作ったのは誰かを確認したことがあるだろうか。
特に現在欧州に住んでいる人は、フランス電力(EDF)、トランスデブ、ソデクソ、ジーセードコーなど、フランスの多国籍企業を目にする機会が多いだろう。また世界中で多くのフランス製ブランド品が売られていることは言うまでもない。
もしフランス人からハリウッドがフランス文化を破壊していると言われたら、近くの公衆便所を指さすといい。

よく言われることだが、フランスは今でもチーズ愛好家たちにとっての最終目的地だ。かつてシャルル・ド・ゴールは、246種類ものチーズを作る国を一体どうやって治めればいいのかと尋ねたという。恐らくド・ゴールは、フランスの人々は有機体であり、いずれ革命を起こすと考えたのだろう。
ルブロションなど、一部のフランス製チーズは、悪臭を放ち、液体がにじみ出てくるので、一見腐敗しているように見える。米国人には、口当たりが良く、固いミモレットでさえ恐ろしかったようで、米国は昨年、ミモレットの輸入を規制した。
優れたチーズは世界中どこにでもあるという主張に反論する者はいないが、フランスではわざわざ遠くに行かなくても、近所の店でおいしいチーズが簡単に手に入る。
2.ショッピング
パリのデパートには、安いノーブランド商品から高級ブランド品まで何でもそろっており、おしゃれな人は服を試着する前にドレスアップする必要性を感じるほどだ。
毎年1月と6月末のセールでは、法律ですべての店が同時に値下げすることが義務付けられているため、信じられないほど割安価格で購入できる。その一方で、フランスはパン屋や食料品店など、小規模で家族経営の多い近所の店がチェーン店に駆逐されないよう守ってきた。
3.美術館
パリといえば、世界で最も有名な美術館であろうルーブル美術館のある場所だが、フランスの美術館文化はパリだけにとどまらず、はるか遠くにまで広がっている。
ロワール地方は、間違いなく世界で最も美しい美術館が集まっている場所だ。この地方には、いくつもの見事なタペストリー(室内装飾用の織物)が所蔵されているシャンボール城や、大変ロマンチックな雰囲気のシュノンソー城など、美しい城が点在している。
あまり知られていない城の中にも素晴らしい城がある。例えばシノン城は完全に保存された古い町の上に建っている。この城を訪れると、門に上り、イギリスの侵入者をフランスから追い出すよう訴えるジャンヌ・ダルクの声が聞こえるようだ。
4.列車
フランスの列車は飛行機より速い。
昼食のためにパリから地中海沿岸に向かうなら、TGV(超高速鉄道)がおすすめだ。3時間後、飛行機の利用者たちが行方不明の荷物を探している頃、億万長者たちが所有するヨットを眺めながら、ロゼワインを楽しむことができるだろう。
TGVは国内を縦横に走っており、オンラインで予約すればセカンドクラスよりも少し高い値段でファーストクラスに乗れる。フランス人が求める豊かな生活は、スローライフとは限らない。
5.交通渋滞
「私はそっちへ行く。あなたに私は止められない」というのが一般的なフランス人ドライバーの運転時のエチケットに対する考えだ。たしかに説得力はあるが、やや怖い気もする。
誰しもが行きたい場所に行くことで事故や交通渋滞が起きているなら、それはみんなの責任と言えるのではないか。
フランス人は道路を走る他の車の存在を認めようとしない。車に具現化された、この自由に対する極端な信仰のおかげで、夏の土曜日や国民の祝日には、同時に休暇に出掛ける人々の車で国全体が巨大な交通渋滞と化す。
6.礼儀正しさ
フランス人、特にパリの人々は、フランス語を話せない旅行者と接する際、不愛想なことで知られる。より正確に言うと、フランス人は、非の打ちどころのない礼儀正しさと、驚くほどの素っ気なさを同時に見せる技術を習得しているのだ。
もし上品なホテルの支配人が片眉を上げながら客に「ムッシュー」あるいは「マダム」と声をかけたら、その支配人はその客に敬意を表すると同時に、客がその場にいることを不審に思っているのだ。
しかし、フランス流の礼儀正しさのこつさえつかめば、怖い物はない。黄金律は単純で、会話の最初に明るく「ボンジュール」(夕方には「ボンソワール」)と言うだけだ。
これは単にこんにちは(こんばんは)という意味ではない。これはフランスで一般に認識されている暗号のようなもので、「はい、私はここにいます。私は礼儀正しく振る舞い、あなたに敬意を表しますので、あなたも私に敬意を表し、さらに親切にしていただければ幸いです」という意味だ。これがすべてボンジュールという一語に集約されている。そして実際に効果を発揮する。
7.セクシーさ
「セクシー」の明確な定義は難しいが、多くの人にとって「フランス人であること」は1つの実用的な定義といえる。
フランス語のアクセントに加え、フランスの人々が男女を問わず、やや無頓着で、人生を謳歌しているのは大変魅力的だ。
またフランスではセクシーな場面や描写を至る所で目にする。例えばフランス映画では、少なくとも2つのバストと、4つのヒップを含めることが法で義務付けられていると言ってもいいくらいだ。
フランス人は男女ともに人を引き付けるためのルールをよく理解しており、「遊び」をやめることはまずない。フランス人にとって、周囲に誰かがいる時に自分をセクシーかつおしゃれに見せ、記憶に残る印象を与えることは義務といえる。
8.高級感
高級品というと、つい口から「フランスの」という言葉が出てしまう。
最近、高級品を生み出すフランス人の才能は、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、モエ・エ・シャンドンなどの高級ブランドにとどまらず、さまざまな分野に広がっている。
その効果は、パリに数十軒ある、のりの効いたエプロン姿のウエイターがいるおしゃれなカフェや、タラジュールなど手頃な価格のスパホテルで感じることができ、価格はさほど高くなくても、億万長者になったような気分が味わえる。
このフランスの「ライトな高級感」は世界中で模倣されている。
9.顧客サービス
フランスには「お客様は王様」という格言がある。フランスの人々が王たちに何をしたかは周知の通りだ。
たしかに、フランスのサービスは時に客に対して不愛想で無関心に思えるが、それでも素晴らしいと言える。
不機嫌そうなウエイターも決してあなたを嫌っているわけではない。単に、彼の専門分野に関して彼は専門家で、あなたは素人ということだ。横柄な態度のデパートの販売員についても同じことが言える。
他の国と違い、フランスではこれらの職業は一生使える技能が身に付く生涯の仕事となりうる職業なのだ。客がすべきことは、辛抱強く、笑顔で自分の希望を接客係に伝えることだ。フランスの人々は、自分が知りたいことを知っており、それを伝えるために最善を尽くしてくれる人に敬意を表する。
10.グローバル化
フランスのグローバル化政策は世界一だ。同国が膨大な時間を費やし、海外からの侵略者たちによってフランス経済がつぶされていると不満を述べているせいで、全世界にどれだけフランス製品が浸透しているか誰も気づかない。
例えば最近、自分が使っている電気を誰が供給しているか、自分が利用している輸送システムの所有者が誰か、自分の国の軍隊に誰が食料を供給しているか、自分の住んでいる都市の公衆便所を作ったのは誰かを確認したことがあるだろうか。
特に現在欧州に住んでいる人は、フランス電力(EDF)、トランスデブ、ソデクソ、ジーセードコーなど、フランスの多国籍企業を目にする機会が多いだろう。また世界中で多くのフランス製ブランド品が売られていることは言うまでもない。
もしフランス人からハリウッドがフランス文化を破壊していると言われたら、近くの公衆便所を指さすといい。
