年金の受給開始年齢が引き上げられて、金額も徐々に減っている。遠くない未来に、年金制度自体が崩壊してしまい、定年という考え方も変わってしまうとよく言われている。

元気で働いている間に、いずれ来るであろう老後のための貯蓄を少しでもしておきたいのが人情だろう。だが不景気続きの日本では、そう思いどおりにはいっていないようだ。

フィデリティ退職・投資教育研究所が2014年5月に発表した調査によると、退職直前の50代で、退職後の準備金額が0円と答えたのは男性で3割を超え、女性も3割近くだった。

年々増える準備額0円の50代
同調査によると、退職直前の50代で退職後の準備金額が0円と答えたのは、男性で32.1%、女性で28.6%だった。男女関係なく約3割の人々が、退職を間近に控えて老後の準備資金がない状況だ。

気になるのは、その数字の変化だ。2013年にも同様の調査が行われた際、男性で準備金額が0円と答えたのは28.2%と2014年は前年よりも3.9%上昇している。女性側は2013年には23.4%で、今年の調査では5.2%も上昇している。

景気回復の恩恵を50代は受けていない?
一方で、退職後の準備金額が1000万円以上と答えた男性は、2013年が28.7%だったのに対して、2014年は28.2%とほぼ横ばい。女性側は、30.3%から26.1%と4.2%も割合が減少している。

2013年はアベノミクスや東京五輪の誘致決定などで景気回復傾向にあるようにみられたが、50代の貯蓄という視点では、その恩恵を受けていないのかもしれない。