ローレンス・サマーズ氏が米連邦準備理事会(FRB)の次期議長をめぐる争い回避を決めたことは賢明だ。オバマ大統領からの支持は得ていたものの、民主党リベラル派や多くの学者から反対の声が上がっていた。サマーズ氏は、論争を呼び込むことで景気回復に水を差さないほうが良いと指摘したが、彼の辞退が新たな亀裂を生まない限り、それは正しいかもしれない。

FRB議長就任に向け、サマーズ氏はオバマ大統領の信任を得ていたが、上院の承認が必要となるはずだった。同氏は規制緩和論者、および銀行を優遇しかねない金融業界寄りの人物と見る向きもあったため、シリア対応で不人気な軍事行動を推進し、10月には債務上限問題をめぐり厳しい局面に立たされる大統領の指導力を一層損なっていただろう。

たとえサマーズ氏のFRB議長就任が最終的に承認を得たとしても、市場を動揺させていただろう。現時点でウォール街はイエレンFRB副議長が次期議長に就任すると見込んでおり、そうなればFRBの現行政策は維持されるとみられる。民主党内ではサマーズ氏よりもイエレン氏を推す声が強く、議会承認は比較的容易となりそうだ。

しかし、サマーズ氏が次期FRB議長レースから撤退したからといって、スムーズな議長交代が実現するとは限らない。大統領は自身に近い人物を高く評価している。このため、FRB議長就任の可能性を否定しているものの、ティモシー・ガイトナー前財務長官も候補に数えられる。

元FRB副議長のロジャー・ファーガソン氏にも可能性がある。同氏は、バーナンキ現FRB議長やイエレン副議長に比べ、早期に金融緩和を終了する方向に傾くかもしれない。

大統領はまた、FRB前副議長のドナルド・コーン氏を候補だと指摘したこともある。

サマーズ氏は過剰な自尊心を抱いていると中傷もされた。同氏の影響力が今回の人事レースの中で大きな力を発揮したとみられることから、同氏はささやかな慰めを得るかもしれない。

このタイミングでサマーズ氏が人事レースからの撤退を表明したことで、メディアでは同氏に対する批判も鳴りを潜めている。

<背景となるニュース>

*オバマ米大統領は15日、ローレンス・サマーズ氏が、次期連邦準備理事会(FRB)議長候補を辞退したと発表した。

オバマ大統領は声明で「きょう、サマーズ氏と話をし、FRB議長候補を辞退するという彼の決断を受け入れた」と表明。サマーズ氏は、自身が指名された場合に議会の人事承認プロセスが難航し、大統領の経済運営やFRBに悪影響を及ぼす恐れがあるとの懸念から、選考候補からの辞退を決断した。

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ローレンス・サマーズ氏

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