総選挙は、自民党の圧勝、民主党の壊滅、第三極の不発で終わった。
26日にも安倍晋三自公政権が発足し、新年を迎えることになった。
この総選挙は、案の定、違憲状態を放置した戦後最低投票率の歴史に残る不毛な総選挙になってしまった。
なぜこのような結果がもたらされたのだろうか。
民主党、第三極が勝てなかった3つの理由
(1)自民党も民主党もそしてメディアも見方が一致しているが、この選挙結果は、3年間の民主党政権の大失敗、とりわけ野田佳彦内閣による公約違反がもたらしたものと言える。
すなわち、民主党への積極的不支持と自民党への消極的支持が今回の選挙の主たる流れとなった。それはちょうど3年前の総選挙の逆である。
野田首相は直ちに民主党代表を辞任する意向を表明したが、それで済むのだろうか。明らかに議員辞職をする政治的道義的責任があると思われる。
(2)いわゆる第三極政党は、乱立によって自民党に漁夫の利を与えた。また連携や協力をめぐる過程での未熟な動きによって有権者の不信感を募らせた。
日本維新の会はやはり、「太陽の党」と「日本維新の会」のままで協力すべきであった。合流したことで、お互いに特色を薄めあって曖昧な党になった。
嘉田氏の日本未来の党には当初は期待が集まったものの、急速にそれがしぼんでしまった。
その理由として、①嘉田代表が自ら出馬しなかったこと、②執行部体制が市民運動家を重視し過ぎたこと、③バラマキと誤解される政策公約を示したこと、④「卒原発」の訴えが選挙の争点にならなかったこと、⑤経済、安保政策が欠けていると見られたことなどが挙げられる。⑥小沢一郎氏の存在もプラスではないが、しかし、最大の敗因でもなかった。むしろ、小沢氏が後ろに下がり過ぎたのかもしれない。
みんなの党は善戦したものの、専売特許の行政改革、官僚改革の主張が際立たなかった。経済、安保政策では自民党と同じ主張のように受け取られてその分伸び悩んだ。
(3)選挙戦の争点が経済や安全保障に次第に移って行った。
選挙中に「日銀短観」が発表され、日本経済の後退局面が鮮明に示され、折から年末ということもあって“景気”が最大の争点に浮上した。これは自民党支持の流れを強めることになった。
また、中国機の日本領空侵犯や北朝鮮のミサイル発射も有権者の目を一段と安全保障問題に向けたであろう。これも自民党を利する結果となった。
もちろん、これで「消費税増税」や「続原発」が認められたわけではない。依然としてこの2つの問題は世論の最大関心事項であり、また違う形で必ず大きく噴き出していくだろう。
公明党に願うブレーキの役割
さて、今回の総選挙結果で最も注目すべき点は、自民、公明両党が衆議院で3分の2を越える絶対多数を占めたこと。法案の再議決による成立が可能になったから、何でもできるようなもの。“ねじれ国会”に必要以上の気を使うこともなくなった。
こうなると、公明党の自民党に対する強いチェック機能に期待せざるを得ない。なぜなら、公明党が同調しなければ、3分の2条項で法案を可決することができないからだ。
公明党の支持者は、米国、財界、霞ヶ関に一定の距離を置いた人が多いはずだ。新政権で自民党はアクセルだが、公明党はブレーキの役割を期待される。おそらく、公明党は立党以来最も重要な政治的位置を占め、大きな責任を担うことになったと言えるだろう。
次の国政選挙は来夏の参議院選挙。結局、新しい展望を開く選挙は半年間先送りとなった。有権者は今の自民党のまま、長期間の政権を任せたわけではない。

26日にも安倍晋三自公政権が発足し、新年を迎えることになった。
この総選挙は、案の定、違憲状態を放置した戦後最低投票率の歴史に残る不毛な総選挙になってしまった。
なぜこのような結果がもたらされたのだろうか。
民主党、第三極が勝てなかった3つの理由
(1)自民党も民主党もそしてメディアも見方が一致しているが、この選挙結果は、3年間の民主党政権の大失敗、とりわけ野田佳彦内閣による公約違反がもたらしたものと言える。
すなわち、民主党への積極的不支持と自民党への消極的支持が今回の選挙の主たる流れとなった。それはちょうど3年前の総選挙の逆である。
野田首相は直ちに民主党代表を辞任する意向を表明したが、それで済むのだろうか。明らかに議員辞職をする政治的道義的責任があると思われる。
(2)いわゆる第三極政党は、乱立によって自民党に漁夫の利を与えた。また連携や協力をめぐる過程での未熟な動きによって有権者の不信感を募らせた。
日本維新の会はやはり、「太陽の党」と「日本維新の会」のままで協力すべきであった。合流したことで、お互いに特色を薄めあって曖昧な党になった。
嘉田氏の日本未来の党には当初は期待が集まったものの、急速にそれがしぼんでしまった。
その理由として、①嘉田代表が自ら出馬しなかったこと、②執行部体制が市民運動家を重視し過ぎたこと、③バラマキと誤解される政策公約を示したこと、④「卒原発」の訴えが選挙の争点にならなかったこと、⑤経済、安保政策が欠けていると見られたことなどが挙げられる。⑥小沢一郎氏の存在もプラスではないが、しかし、最大の敗因でもなかった。むしろ、小沢氏が後ろに下がり過ぎたのかもしれない。
みんなの党は善戦したものの、専売特許の行政改革、官僚改革の主張が際立たなかった。経済、安保政策では自民党と同じ主張のように受け取られてその分伸び悩んだ。
(3)選挙戦の争点が経済や安全保障に次第に移って行った。
選挙中に「日銀短観」が発表され、日本経済の後退局面が鮮明に示され、折から年末ということもあって“景気”が最大の争点に浮上した。これは自民党支持の流れを強めることになった。
また、中国機の日本領空侵犯や北朝鮮のミサイル発射も有権者の目を一段と安全保障問題に向けたであろう。これも自民党を利する結果となった。
もちろん、これで「消費税増税」や「続原発」が認められたわけではない。依然としてこの2つの問題は世論の最大関心事項であり、また違う形で必ず大きく噴き出していくだろう。
公明党に願うブレーキの役割
さて、今回の総選挙結果で最も注目すべき点は、自民、公明両党が衆議院で3分の2を越える絶対多数を占めたこと。法案の再議決による成立が可能になったから、何でもできるようなもの。“ねじれ国会”に必要以上の気を使うこともなくなった。
こうなると、公明党の自民党に対する強いチェック機能に期待せざるを得ない。なぜなら、公明党が同調しなければ、3分の2条項で法案を可決することができないからだ。
公明党の支持者は、米国、財界、霞ヶ関に一定の距離を置いた人が多いはずだ。新政権で自民党はアクセルだが、公明党はブレーキの役割を期待される。おそらく、公明党は立党以来最も重要な政治的位置を占め、大きな責任を担うことになったと言えるだろう。
次の国政選挙は来夏の参議院選挙。結局、新しい展望を開く選挙は半年間先送りとなった。有権者は今の自民党のまま、長期間の政権を任せたわけではない。
