福島医大に地元も疑念
福島第1原発事故では、SPEEDI情報の伝達遅れやヨウ素剤配布の遅れから、多くの子どもたちが被ばくした。女児の過半数に嚢胞が見られるなど、影響が心配される中、福島医大の鈴木教授が説明会で「20歳以下は放射線で甲状腺がんにならない」と説明、物議を醸している。

「選挙権があればがんにならない?」
福島県では、原発事故の子どもに対する影響を心配する県民に向け、甲状腺検査説明会が開催されている。5日に郡山市で行われた説明会では、甲状腺を専門とする福島医大鈴木真一教授が「放射線の影響は20歳以上を過ぎるとないんで、がんになりません」と断言した。

これに対して、熊本県で内科医院を開く小野俊一医師はブログの中で、強く批判する。

選挙権を持っていれば、なぜ放射性の癌にはかからないのか。私にはさっぱり理解出来ないのです。20歳+1日の人は癌にならず、19歳の人は癌になる可能性がある。そんなに素晴らしい知能を放射能が持っているとは私は浅学のためか、全く知りませんでした。私は、この仕組みを発見した鈴木教授には、是非ともノーベル医学賞を取っていただきたいとさえ思います。(「院長のひとりごと」より抜粋)

異常があっても異常なし
昨年、長野県松本市にある認定NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金と信州大病院が福島の子ども130人を対象に行った検査によると、10人(7.7%)から甲状腺ホルモン値が基準を下回るなどの変化が見られた。

この結果に対して、鈴木教授は「大人では2割を超える人で異常が見つかることもある」として、異常ではないと断じた。

もともと、甲状腺がんも子どもでは100万人1~2人程度だが、大人では1000人に1人程度と大幅に増える。大人の統計を基準に子どもの安全を語るのは、医学的常識から外れている。

がん患者が出ても「放射線じゃない」
がん患者が出ても、鈴木教授は放射線の影響を否定する。「内部被ばくのあったチェルノブイリでも、甲状腺がんが増え始めたのは4年後から」というのが根拠だが、福島第1原発事故による被ばく量は正確に測定されていない。

チェルノブイリよりはるかに高い被ばくを受けた、とされる地域もあり、単純比較には無理がある。

福島県内でも、こういった説明を続ける県民健康管理調査検討委員会の姿勢に「まず安全、という結論ありきではないか」と疑う声が高まっている。



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