他人名義でマンションの賃貸借契約を結んだとして、警視庁組織犯罪対策特別捜査隊は、詐欺容疑で、暴走族グループ「関東連合」元リーダー、石元太一容疑者(30)=東京都港区南麻布=ら2人を逮捕。また、パチンコ攻略法の情報を教えると偽り、女性(25)から現金計約136万円を振り込ませたとして、同容疑で職業不詳、藤田周作容疑者(26)=武蔵野市吉祥寺南町=ら2人を逮捕した。

 石元容疑者は、歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが平成22年11月に暴行され重傷を負った事件で、現場となった港区の飲食店で同席し、海老蔵さんに灰皿で酒を飲まされそうになるなどして仲間が事件を起こすきっかけになったとされている。今年8月には、事件や関東連合の実態などについて語った著書を出版。俳優としてデビューすると発表していた。

 同隊によると、石元容疑者は22年3月に傷害事件を起こしており、この際に警視庁が押収した携帯電話の履歴から、藤田容疑者らがパチンコ攻略法の情報提供名目で詐取したとみられる金額が記載されたメールを、石元容疑者が定期的に受け取っていたことが判明したという。

 藤田容疑者らは21年9月~22年3月、全国の174人から5800万円以上をだまし取ったとみられ、同隊は石元容疑者が関与していなかったか慎重に調べる。

 石元容疑者の逮捕容疑は、昨年8月、南麻布のマンションに自分が入居することを隠して、住所不定、職業不詳、加藤尚弘容疑者(45)=詐欺容疑で逮捕=の名義で契約したとしている。調べに対し、石元容疑者は「名前が売れてしまい、自分名義でマンションが借りられなかった」などと供述しているという。

 ■関東連合 東京都の世田谷区や杉並区などを中心に結成されたとされる暴走族の連合体。警視庁などによると、昭和48年ごろには約500人の少年が所属していたというが、徐々に少人数化するのに伴い過激化。平成9年には対立グループとの乱闘で少年を刺殺するなど相次いで凶悪事件を起こしたが、15年に解散した。OBには著名人と親交を深めて飲食店などを経営する者のほか、指定暴力団の構成員もいるという。