最高裁が保険金支払いを確定
殺人が疑われるとして保険会社が保険金の支払いを拒否した事件で、最高裁判所第2小法廷(竹内行夫裁判長)は31日までに、保険金の支払いを命じる判決を確定させた。

殺人者と受取人が別だから
死亡したのは岐阜市に住む当時22歳の男性。義兄(42)やその友人(44)らと2006年6月にサイパン旅行に出かけ、オブシャンビーチで溺死した。

旅行に出かける当日、空港のカウンターで両親を受取人とする海外旅行保険に加入していたが、死亡の状況に不審な点が多いとして、東京海上日動は支払いを拒否。支払いを求める両親と裁判で争ってきた。

1審の岐阜地裁は「保険金を得る目的で故意に溺れさせた、と推認できる」と東京海上日動の主張を認めた。2審の名古屋高裁は「たとえ義兄らが死亡に関与していたとしても、受取人である両親と意思の疎通があったとは認められない」として、保険金の支払いを命じた。

今回、最高裁は2審判決を支持。東京海上日動側の上告を棄却した。

過去10年に保険金請求36回
事件の状況には不審な点が多い。男性が溺れたビーチは浅く、死亡時には腰くらいまでしか水深がなかった。波も穏やかだったため、現地の住人も「溺れるのは不自然」と語る。

保険の加入にあたっては、死亡保険金7500万円の保険に一度入ったが、数分後に1億円の保険に入り直している。1万円前後と思われる保険料は、義兄とその友人が支払ったとされる。

さらに義兄と友人は過去10年間に交通事故による保険金の支払いを36回も請求している。という。

事故当時、男性の肺に海水が入っていたため、現地警察は解剖もせず死体を引き渡した。岐阜県警は状況に疑念を抱いており、その後、別の保険金詐欺事件で義兄の身柄を拘束。サイパンでの事件について事情を聴取したが、義兄は黙秘した。

この状況でも保険金が支払われるなら、今後は受取人を別にした保険金殺人の増加が心配される。


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