簡単に利用できるシステムに県が反対
原発事故による被ばく量をネット上で簡単に推計できるシステムが、福島県の反対で活用されることなく闇に葬られていた。20日の毎日新聞が報じた。
入力するだけで外部被ばくの推計値
昨年3月に発生した福島第1原発事故では、多くの近隣住民が被ばくした。SPEEDY情報などが知らされなかったため、屋外にいて被ばくした人も多く、被害は子どもたちにも及んでいる。
被ばく状況を知り、早期にヨード剤を服用するなどの対処をすれば、被害は軽減できたかもしれない。その大きな助けとなるはずだったシステムが福島県、政府、一部学者などの反対により導入されなかった。
外部被ばく量の推計システムを作ったのは、独立法人・放射線医学総合研究所。同研究所では昨年4月、文科省の指示で福島第1原発周辺住民の外部被ばく線量を調べるシステムの構築に着手した。
爆発により放射性物質が大量に飛散した直後、どのような生活を送っていたのか、などの情報をもとに被ばく線量は推計できる。同研究所では、ネット上でこういった情報をインプットするだけで、線量の推計値が表示されるシステムを考案した。
「なにを考えているんだ!」福島県が猛反対
放射性医学研究所は5月13日に福島県立医大で開かれた健康調査に関する検討委員会準備会の席上で、同システムについて紹介した。
同会議には、内閣府、文部科学省、厚生労働省などの官僚、広島大学や長崎大学などの学者、それに福島県の保健福祉部幹部、県立医大教授、県医師会幹部など総勢23人が出席。
システム導入については、県保健福祉部幹部が「なにを考えているんだ」と声を荒げるなど、反対の声が相次いだ。反対意見の概要は、おなじみの「不安をあおる」というもの。
県民の健康情報は論文のために独占
同会議の進行役は山下俊一長崎大学教授(当時)が務めた。山下教授は「放射能はくよくよする人に来る」などの発言で県民の反感を買った人物。
人体に対する放射線研究では第一人者とされるが、「これから、みなさんが病気になるのを調べるには福島県民みなさんの協力が必要です」と語るなど、県民の健康より自身の名声を重視しているのでは、としばしば疑われる。
結局、県民の健康調査については、同教授が主体となって作成した書面による方式のみが採用され、今年5月末時点での回収率は22.6%にとどまっている。
不安をあおる情報操作
放射性物質について、不安をもっともあおっているのは、さまざまなルートからもたらされる客観的な情報ではなく、徹底的に情報を管理しようとする国や県の姿勢だ。
福島第1原発で作業員として働く「ハッピーさん」はTwitter上でモニタリングポストの不正について証言している。
それによると、警戒区域内にも多数も受けられるようになったモニタリングポストでは、周辺の土を削るなど、数値を低くするための局部的な除染がおこなわれているという。
こういった操作の上、国や県にとって「都合の良い数字」しか発表されていない現状が、国民の不安をあおり風評被害を生む土壌となっている。

原発事故による被ばく量をネット上で簡単に推計できるシステムが、福島県の反対で活用されることなく闇に葬られていた。20日の毎日新聞が報じた。
入力するだけで外部被ばくの推計値
昨年3月に発生した福島第1原発事故では、多くの近隣住民が被ばくした。SPEEDY情報などが知らされなかったため、屋外にいて被ばくした人も多く、被害は子どもたちにも及んでいる。
被ばく状況を知り、早期にヨード剤を服用するなどの対処をすれば、被害は軽減できたかもしれない。その大きな助けとなるはずだったシステムが福島県、政府、一部学者などの反対により導入されなかった。
外部被ばく量の推計システムを作ったのは、独立法人・放射線医学総合研究所。同研究所では昨年4月、文科省の指示で福島第1原発周辺住民の外部被ばく線量を調べるシステムの構築に着手した。
爆発により放射性物質が大量に飛散した直後、どのような生活を送っていたのか、などの情報をもとに被ばく線量は推計できる。同研究所では、ネット上でこういった情報をインプットするだけで、線量の推計値が表示されるシステムを考案した。
「なにを考えているんだ!」福島県が猛反対
放射性医学研究所は5月13日に福島県立医大で開かれた健康調査に関する検討委員会準備会の席上で、同システムについて紹介した。
同会議には、内閣府、文部科学省、厚生労働省などの官僚、広島大学や長崎大学などの学者、それに福島県の保健福祉部幹部、県立医大教授、県医師会幹部など総勢23人が出席。
システム導入については、県保健福祉部幹部が「なにを考えているんだ」と声を荒げるなど、反対の声が相次いだ。反対意見の概要は、おなじみの「不安をあおる」というもの。
県民の健康情報は論文のために独占
同会議の進行役は山下俊一長崎大学教授(当時)が務めた。山下教授は「放射能はくよくよする人に来る」などの発言で県民の反感を買った人物。
人体に対する放射線研究では第一人者とされるが、「これから、みなさんが病気になるのを調べるには福島県民みなさんの協力が必要です」と語るなど、県民の健康より自身の名声を重視しているのでは、としばしば疑われる。
結局、県民の健康調査については、同教授が主体となって作成した書面による方式のみが採用され、今年5月末時点での回収率は22.6%にとどまっている。
不安をあおる情報操作
放射性物質について、不安をもっともあおっているのは、さまざまなルートからもたらされる客観的な情報ではなく、徹底的に情報を管理しようとする国や県の姿勢だ。
福島第1原発で作業員として働く「ハッピーさん」はTwitter上でモニタリングポストの不正について証言している。
それによると、警戒区域内にも多数も受けられるようになったモニタリングポストでは、周辺の土を削るなど、数値を低くするための局部的な除染がおこなわれているという。
こういった操作の上、国や県にとって「都合の良い数字」しか発表されていない現状が、国民の不安をあおり風評被害を生む土壌となっている。
