上場企業役員の2011年(3月期決算企業)の報酬がほぼ出そろい、有価証券報告書のデータを基に「YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア)」がランキングを作成した。1位はカシオ計算機の創業4兄弟、故・樫尾俊雄氏で、13億3300万円だった。また、それとは別に配当も合わせれば、ソフトバンク社長の孫正義氏が93億円とダントツだった。


並ぶ「退職金長者」

 まず上位陣に、常連のカルロス・ゴーン氏が2位となっている点はいつものとおりだが、かなり顔ぶれが代わっていることがわかるだろう。昨年のランキングでも多かったのだが、いわゆる「退職金長者」の存在だ。

 樫尾俊雄氏は、その典型的な存在で、退職慰労金だけで13億1900万円が支給されている。カシオ創業4兄弟の一人。同社の礎となった計算機、電卓などを発明した功績は大きい。先日、87歳で亡くなったが、「功績を考えれば安い」という見方もある。

 また、ランキングには入っていないが、ホキメディカルの創業者、保木将夫氏に対する20億円の創業者功労金は、辞退している。純利益が50億円に満たない会社だけに、過大な金額と言えるだろう。もちろん、受けていればランキングは一位だった。しかし、このケースは辞退が妥当だったようだ。

 トップが高齢化している日本企業の一つの潮流として、この流れは当分続きそうではある。
 
1 樫尾俊雄     13億3300万円 カシオ計算機
2 カルロス・ゴーン  9億8700万円 日産自動車
3 松本實蔵      8億5000万円 フジプレアム
4 野沢克巳      7億7000万円 アールビバン
5 隅田和夫      7億5600万円 平河ヒューテック
6 冨沢晶三      7億3500万円 メガネトップ
7 三津原博      6億5100万円 日本調剤
8 里見治       6億1700万円 セガサミーHD
9 稲葉善治      5億9700万円 ファナック
10 ハワード・ストリンガー4億6600万円ソニー(敬称略)

 これらは会社から受けている報酬だが、ランキングには現れないもうひとつの収入がある。

■裏ランキング1位は93億円

 早くから何度も指摘されていることではあるが、本当のランキングは配当を見なければわからない。創業者であれば自社株の保有比率も高く、配当収入はかなりの金額に上る。

 年収93億円というとてつもない金額を会社から受け取るのが、ソフトバンクの孫正義社長だ。退任までの一生の収入をすべて東日本大震災関連の寄付に充てることにしているが、配当は別だ。今年から5円配当から35円増配し40円配当に。実に8倍になった計算だ。

 また、配当ならば税率も現行の制度では10%で、所得税の最高税率40%とは大きな差異がある。上場企業の社長では、文句なしに実質ナンバー1の高収入ではなかろうか。

 ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正社長も年間配当はファミリーの分も合わせて52億円。こちらもフォーブスなどで孫氏とともに顔を出す常連だ。

 任天堂創業家の山内溥氏は14億円。一時は100億円を超えた時期もあったが、配当収入というものは、最悪で無配に転落することもあり、良い面ばかりではないことを教えてもくれる。




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