人類の可能性を「Nature」が検証
もしドーピングをいっさい規制しなければ、記録はどこまで更新されるか。ロンドンオリンピックの開幕を間近に控え、スポーツの話題が盛り上がる中、18日付けの「Nature」にこんな記事が紹介された。

ホルモン剤で筋力アップ
ドーピングでもっとも一般的なのが、アナボリックステロイドなどの男性ホルモン系薬剤の使用。トレーニングと組み合わせれば、男子選手で38%、女子ならさらに極端な筋力増強が可能とされる。

成長ホルモン剤にはスプリント力を4%向上させる効果が確認されており、水泳の50m自由形や陸上の100m走には最適だ。

持久力アップは血液、遺伝子ドーピングで
自身の血液を輸血したり、赤血球を増加させる作用を持つエリスロポエチンを使ったりすれば、酸素の運搬能力をアップして、持久力を高めることができる。

赤血球の増加により、持久力が34%アップし、8km走のタイムが44秒も縮まったという記録もある。

また持久力向上には遺伝子ドーピングも効果的だ。筋肉細胞におけるペルオキシソーム増殖応答性受容体デルタ(PPARデルタ)と呼ばれる遺伝子を活性化すれば、持久力が高まるとされる。

この効果はマウスですでに確認されており、実験に使われたマウスは長距離を走れるようになったため、「マラソンネズミ」と呼ばれた。

最後は手術で「脚の交換」
手術による能力アップも公然とささやかれる。人工の関節や靱帯などはケガをしたアスリートの能力回復に利用されているが、簡単なところでは、手足の指にある「水かき」を大きくする外科手術により、タイムの大幅短縮が期待できるという。

南アフリカ代表としてロンドンオリンピックの400m走、400×4リレーに出場するオスカー・ピトリウスは、両足のひざから下に強靱な反発力を持つ義足を装着している。

義足の性能がスピードの秘密では、との疑惑も持たれるほどだが、専門家によると現在の義足はスタート時やカーブなどで、力のロスが大きいという。

ただ、今後さらに技術が進めば、人の脚を上回る義足がオリンピックで公認されるだろう、とマサチューセッツ工科大(MIT)の研究者は予想している。


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