赤字自治体が犬からも税金
大阪市泉佐野市が赤字財政に断末魔の悲鳴を上げている。破綻したとみなされ、財政再建団体に転落するのを避けるため、3月には市に命名できるネーミングライツを発売。7月に入って、新たに「犬税」の導入を検討している。

連絡橋国有化でダメ押し
泉佐野市は関西国際空港をめぐるいわゆる「関空バブル」に踊った時期があり、巨額の財政赤字を抱える。

連結決算では、2008年度の累積赤字が54億3,200万円にのぼり、これは破綻した夕張市に次ぐ、全国ワースト2位にあたった。

その後、公共料金の値上げや図書館を週休2日にするなど、緊縮策を講じてきたが、2009年には関空連絡橋が国有化されたことで、歳入の大きな柱であった固定資産税が得られなくなった。

歳入と歳出の差は2011年度でも約8億7,000万円にのぼり、改善のめどは立っていない。
赤字額が標準財政規模の20%を超えると、地方財政再建促進特別措置法により、財政再建団体に転落することになるが、泉佐野市はまさにその瀬戸際にある。

連絡橋課税断念で「犬税」を復活?
泉佐野市は関西空港連絡橋を通行する車両に対して、往復100円の通行税を課税する法案を可決。今年4月には総務省の了解もとりつけた。

年間3億円の税収が見込まれており、財政再建の助けになるものと期待されたが、システム開発が間に合わず、予定されていた10月からの課税は不可能と発表された。

そんな中、6月27日の市議会本議会で、千代松大耕市長は犬を飼育する世帯に課税する「犬税」導入を検討中、と明かした。

税金ではなく罰金が筋だが
犬税導入の目的について、千代松市長は「税収はふんの放置対策にあてる」と説明する。ただ、現在、ふんの放置には1,000円の罰金を徴収する条例があるが、適用された例はなく、効果を発揮していない。

ただ、ふんの対策費用を飼い主から一律に税金として徴収すれば、適切に処理している飼い主もコストを負担することになる。「費用を支払っているのだから」と放置する人が増加する可能性も否定できない。

税収増が目的?
かつて、犬税は日本中で約2,700の自治体が導入していた。最後まで残っていた長野県松本市では、1匹あたり300円を課税していたという。

現在、同市には約5,400匹の犬が飼われている。同レベルの課税で得られる税収は年間162万円にすぎない。

ビッグパンダの日記