足もとでインド経済は文字通り「失速」している。今年1~3月期の実質GDPの伸び率は、対前年同期比5.3%となった。これは、リーマンショック直後の5.8%を下回る、約7年ぶりの低水準となる。
インド政府の発表によれば、昨年度(2011年4月~2012年3月)の実質GDP伸び率も6.5%と、9年ぶりの低さだという。日本人が「中国の次に来る経済パートナー」と目していた勢いは、どこに吹っ飛んでしまったのだろうか。
先の営業マンが指摘するとおり、問題は我々日本人自身がインドの経済事情をよく知らないことだ。実際、中国に比べれば、インドに本格展開して現地事情に精通している日本企業はまだ少ない。そのこともあってか、「成長市場」という期待ばかりが独り歩きしていた反動で、余計に得体の知れない不安が募ってしまうのかもしれない。
インド経済は本当にダメになってしまったのか。今後、現地展開を目指す日本企業が肝に銘じるべきポイントは何か。専門家の意見を織り交ぜながら、リサーチしてみよう。
生産年齢人口が10年後に8.9億人
経済成長と市場急拡大の「神話」
そもそも、これまで日本人が考えていたインドの魅力とは何だったのか。世間でよく指摘されているものを挙げると、第一にその豊富な労働人口だ。とりわけ、少子化の兆しが見え始めている中国に対して、経済発展の基礎となる若い人口が多い。
インドにおける15~64歳の生産年齢人口は、10年後に現在の2割増となる8.9億人まで増えると言われており、現在でも世界第2位となる総人口(約11億人)は、2025年以降、中国を抜いてトップに躍り出る見通しだ。現在のペースで人口増加と経済発展が進めば、日本企業にとってはかつてなく魅力的な一大市場が出現することになる。
IMF(国際通貨基金)の見通しによると、インドの2010年の経済成長率は、中国を抜いて推定約9.7%を達成するとされていた。この数値だけを見ても、足もとの失速がいかに意外であったかがおわかりだろう。

インド政府の発表によれば、昨年度(2011年4月~2012年3月)の実質GDP伸び率も6.5%と、9年ぶりの低さだという。日本人が「中国の次に来る経済パートナー」と目していた勢いは、どこに吹っ飛んでしまったのだろうか。
先の営業マンが指摘するとおり、問題は我々日本人自身がインドの経済事情をよく知らないことだ。実際、中国に比べれば、インドに本格展開して現地事情に精通している日本企業はまだ少ない。そのこともあってか、「成長市場」という期待ばかりが独り歩きしていた反動で、余計に得体の知れない不安が募ってしまうのかもしれない。
インド経済は本当にダメになってしまったのか。今後、現地展開を目指す日本企業が肝に銘じるべきポイントは何か。専門家の意見を織り交ぜながら、リサーチしてみよう。
生産年齢人口が10年後に8.9億人
経済成長と市場急拡大の「神話」
そもそも、これまで日本人が考えていたインドの魅力とは何だったのか。世間でよく指摘されているものを挙げると、第一にその豊富な労働人口だ。とりわけ、少子化の兆しが見え始めている中国に対して、経済発展の基礎となる若い人口が多い。
インドにおける15~64歳の生産年齢人口は、10年後に現在の2割増となる8.9億人まで増えると言われており、現在でも世界第2位となる総人口(約11億人)は、2025年以降、中国を抜いてトップに躍り出る見通しだ。現在のペースで人口増加と経済発展が進めば、日本企業にとってはかつてなく魅力的な一大市場が出現することになる。
IMF(国際通貨基金)の見通しによると、インドの2010年の経済成長率は、中国を抜いて推定約9.7%を達成するとされていた。この数値だけを見ても、足もとの失速がいかに意外であったかがおわかりだろう。
