震災の爪痕がまだ残る東北の地に、優勝をもたらすのは、楽天の星野仙一監督(65)ではないようだ。
「今、球界はあの人の影響力の大きさを再認識させられています。セ・リーグの予告先発制導入にしても、そうです。猛反対していたあの人がいなくなったから、議論が再開されたようなものです」(球界関係者)
そう、“あの人”とは、前中日監督・落合博満氏(58)のことだ。8年間、指揮官を務めてリーグ優勝4回、日本一1回。Bクラスに落ちたことは一度もない。無愛想で、ファンサービスにも消極的なイメージが強かったが、実際は違う。東北・秋田県出身者として、東日本大震災の支援で、「もっとも尽力した野球人」でもあったのだ。
「震災から10日と置かずに義援金サイトを開設し、中日監督を退いた今も復興支援を続けています。チャリティー試合として開催された昨年の球宴後、『(開催球場となった)仙台でやったら終わりなのか!? 来年、再来年とやることに意味があるんじゃないの?』と訴えました。今年、球宴会場が盛岡に決まったのも、落合さんのおかげです。震災支援への思いの熱さはアンチ落合も認めています」(同)
その落合氏が低迷する“東北の球団”を救う日も、そう遠くはないようだ。
というのも、星野監督に“闘将”と呼ばれていたころのパワーがなくなったという声が、球団の内外から聞こえるようになってきたのだ。
「楽天は投打ともに不安材料を抱えています。昨季のチーム総得点432はリーグワーストタイ、同打率2割4分5厘、本塁打53は5位。西武からフェルナンデスが帰還しましたが、打線の核になる4番が見当たりません。先発陣は手薄で、阪神から戦力外になった下柳をアテにしなければならない状況です。クローザーも適任者がいませんしね」(某プロ野球解説者)
今までの星野監督なら、大型補強で弱点を補い、オフの話題も独占していたはず。しかし今季は、そういった動きは全く見られなかった。「メジャーリーグの開幕に合わせ、マイナー落ちした投手を補強する」(チーム関係者)との情報も聞かれたが、三木谷浩史・球団会長が首を縦に振らない方針がアリアリ。
「三木谷会長はヤリ手経営者だけあって費用対効果を気にします。また、これまでにも初代監督の田尾安志氏、ブラウン前監督の首を任期途中で切り、一、二軍のコーチを入れ換えてきました。星野監督がオフの補強に動けなかったのは、軍資金を出してもらえなかったからですよ」
本当は李大浩、ラミレス、福留孝介、川上憲伸、村田修一、栗原健太にも獲得の触手を伸ばしていた星野監督。李大浩は岡田オリックスとの一騎打ちとなったが、星野楽天が提示したのは『2年3億円』。オリックスの『2年7億6000万円』の半値以下だ。
ラミレスに対しても、「横浜DeNAが2年3億5000万円を提示したと聞き、太刀打ちできなかった」(同)という。
「就任直後の2010年オフ、松井稼頭央、岩村明憲のビッグネームを獲得しましたが、際立った活躍は見せていません。今オフ、三木谷会長が星野監督の補強を金銭面で支援しなかったのはその影響もある。田中将大に3億2000万円(推定)の年俸を提示したように、楽天は活躍した選手にはそれに見合った金額を用意する。活躍する前に札束を出す星野監督の補強とは食い違いがあります」(ベテラン記者)
星野監督が“闘将の牙”を抜かれたのは、補強面の問題だけではない。中日時代の教え子である川上、福留は、交渉のテーブルにさえつかなかった。とくに川上との“仲違い”は他球団にも「もう昔の星野監督ではない」との印象を強くさせたという。
「川上は'97年の星野中日のドライチであり、明治大学の後輩。しかし、北京五輪で代表監督を務めた星野監督に酷使され肩を故障し、それが理由で、メジャーで活躍することができなかった。いまとなっては、師弟関係はあってないようなもの」(前出・球界関係者)
中日の監督だった'87年、パリーグの三冠王だった落合博満を獲得できたのは、故・加藤巳一郎オーナー(当時)の庇護があったから。さらに、阪神に転じた際、片岡篤史、金本知憲、伊良部秀輝、さらに多くの外国人選手も補強したが、それも故・久万俊二郎オーナー(当時)の後ろ楯によるものである。
「昨季は松井稼、岩村を獲ったのに勝てませんでした。今季も楽天を優勝候補に推す解説者は見当たりません。田尾、ブラウン両監督がそうだったように、星野監督だけが特別扱いされることはないでしょう」(同)
楽天最大の功労者とも言われた山崎武司は、未来の“指導者”を打診されつつも中日へ移籍。チーム内に計算の立つ先発投手は心細く、クローザーも不在のままシーズンに突入することになった。
星野監督が「序盤の勝敗」でバッサリ切り捨てられる可能性もゼロではない。
落合氏は中日退団後、「話があれば、一応聞く」と、再登板に関する姿勢を語っていた。どちらかと言えば、補強ではなく、現有戦力を生かす指揮官である。
今も陰で東北復興のために活動する落合氏が、楽天を救うのは自然な流れなのかもしれない。

「今、球界はあの人の影響力の大きさを再認識させられています。セ・リーグの予告先発制導入にしても、そうです。猛反対していたあの人がいなくなったから、議論が再開されたようなものです」(球界関係者)
そう、“あの人”とは、前中日監督・落合博満氏(58)のことだ。8年間、指揮官を務めてリーグ優勝4回、日本一1回。Bクラスに落ちたことは一度もない。無愛想で、ファンサービスにも消極的なイメージが強かったが、実際は違う。東北・秋田県出身者として、東日本大震災の支援で、「もっとも尽力した野球人」でもあったのだ。
「震災から10日と置かずに義援金サイトを開設し、中日監督を退いた今も復興支援を続けています。チャリティー試合として開催された昨年の球宴後、『(開催球場となった)仙台でやったら終わりなのか!? 来年、再来年とやることに意味があるんじゃないの?』と訴えました。今年、球宴会場が盛岡に決まったのも、落合さんのおかげです。震災支援への思いの熱さはアンチ落合も認めています」(同)
その落合氏が低迷する“東北の球団”を救う日も、そう遠くはないようだ。
というのも、星野監督に“闘将”と呼ばれていたころのパワーがなくなったという声が、球団の内外から聞こえるようになってきたのだ。
「楽天は投打ともに不安材料を抱えています。昨季のチーム総得点432はリーグワーストタイ、同打率2割4分5厘、本塁打53は5位。西武からフェルナンデスが帰還しましたが、打線の核になる4番が見当たりません。先発陣は手薄で、阪神から戦力外になった下柳をアテにしなければならない状況です。クローザーも適任者がいませんしね」(某プロ野球解説者)
今までの星野監督なら、大型補強で弱点を補い、オフの話題も独占していたはず。しかし今季は、そういった動きは全く見られなかった。「メジャーリーグの開幕に合わせ、マイナー落ちした投手を補強する」(チーム関係者)との情報も聞かれたが、三木谷浩史・球団会長が首を縦に振らない方針がアリアリ。
「三木谷会長はヤリ手経営者だけあって費用対効果を気にします。また、これまでにも初代監督の田尾安志氏、ブラウン前監督の首を任期途中で切り、一、二軍のコーチを入れ換えてきました。星野監督がオフの補強に動けなかったのは、軍資金を出してもらえなかったからですよ」
本当は李大浩、ラミレス、福留孝介、川上憲伸、村田修一、栗原健太にも獲得の触手を伸ばしていた星野監督。李大浩は岡田オリックスとの一騎打ちとなったが、星野楽天が提示したのは『2年3億円』。オリックスの『2年7億6000万円』の半値以下だ。
ラミレスに対しても、「横浜DeNAが2年3億5000万円を提示したと聞き、太刀打ちできなかった」(同)という。
「就任直後の2010年オフ、松井稼頭央、岩村明憲のビッグネームを獲得しましたが、際立った活躍は見せていません。今オフ、三木谷会長が星野監督の補強を金銭面で支援しなかったのはその影響もある。田中将大に3億2000万円(推定)の年俸を提示したように、楽天は活躍した選手にはそれに見合った金額を用意する。活躍する前に札束を出す星野監督の補強とは食い違いがあります」(ベテラン記者)
星野監督が“闘将の牙”を抜かれたのは、補強面の問題だけではない。中日時代の教え子である川上、福留は、交渉のテーブルにさえつかなかった。とくに川上との“仲違い”は他球団にも「もう昔の星野監督ではない」との印象を強くさせたという。
「川上は'97年の星野中日のドライチであり、明治大学の後輩。しかし、北京五輪で代表監督を務めた星野監督に酷使され肩を故障し、それが理由で、メジャーで活躍することができなかった。いまとなっては、師弟関係はあってないようなもの」(前出・球界関係者)
中日の監督だった'87年、パリーグの三冠王だった落合博満を獲得できたのは、故・加藤巳一郎オーナー(当時)の庇護があったから。さらに、阪神に転じた際、片岡篤史、金本知憲、伊良部秀輝、さらに多くの外国人選手も補強したが、それも故・久万俊二郎オーナー(当時)の後ろ楯によるものである。
「昨季は松井稼、岩村を獲ったのに勝てませんでした。今季も楽天を優勝候補に推す解説者は見当たりません。田尾、ブラウン両監督がそうだったように、星野監督だけが特別扱いされることはないでしょう」(同)
楽天最大の功労者とも言われた山崎武司は、未来の“指導者”を打診されつつも中日へ移籍。チーム内に計算の立つ先発投手は心細く、クローザーも不在のままシーズンに突入することになった。
星野監督が「序盤の勝敗」でバッサリ切り捨てられる可能性もゼロではない。
落合氏は中日退団後、「話があれば、一応聞く」と、再登板に関する姿勢を語っていた。どちらかと言えば、補強ではなく、現有戦力を生かす指揮官である。
今も陰で東北復興のために活動する落合氏が、楽天を救うのは自然な流れなのかもしれない。
