政府税制調査会の作業部会は20日、所得税の最高税率を現行の40%から
 45%に引き上げる検討に入りました。
 民主党税調と調整し、社会保障と税の一体改革「素案」に盛り込むこと
 を目指すとのことです。

 日本の限界税率である40%は米国の35%に比べても高い数値ですし、
 地方税を含めて実質的に50%と見ると世界のトップクラスの税率の高さ
 だと言えるでしょう。
 スウェーデン(約56%)、デンマーク(約55%)に続く数値です。

 しかし、スウェーデンやデンマークが国のサービスが充実していて
 全面的に国が面倒を見てくれるのに対して、日本は大して国のサービスも
 良くないのに、限界税率が高すぎると言わざるを得ません。

 現在の日本経済の状況からすると税率を下げるのは難しく、その中で
 何とか税収を確保したいと思ったとき、政治家は結託して
 「金持ちに八つ当たり」してしまえ、と考えているのでしょう。

 これは、喫煙家に八つ当たりした「たばこ税率」のアップと
 全く同じ構図です。
 これらの方法は反対票が少ないので、採択しやすいのだと思います。

 こうした動きを見ていると、日本の政治家や役人が主導すると、
 つくづく抜本的な改革策は出てこないものだと残念に思います。

 米国では次期大統領選の共和党候補者の一人であったハーマン・ケイン氏が
 「9-9-9」タックスプランという面白い提案をしていました。

 所得税、法人税、消費税を9%に統一するという案です。
 現行の所得税、法人税の税率を下げる代わりに、連邦消費税を新設しよう
 というのです。

 これを日本流に応用して私が提唱しているのが、所得税、消費税を10%
 に統一し、法人税を20%にする、という「ダブル10+20」案です。

 現行の3大税収(所得税、消費税、法人税)は約49兆円ですが、
 この方法を採用するだけで2009年度の租税総額約75兆円を
 カバーできる計算になります。

 これに加えて付加価値税と資産税を導入するべきでしょう。
 発展途上国の税制をそのまま成熟国に当てはめていると、
 徐々に効率が悪くなっていきます。

 この点を考慮し、どこから税収を得ていくのか、漏れのない公正な税制を
 抜本的に考え直すことが重要だと私は思います。

 「少しずつ消費税や所得税を上げていくだけ」
 「(反対票が少ないからと言って)たばこや酒などの懲罰的な税率を上げる」
 ではあまりにも能がありません。




ビッグパンダの日記