フィリピン人の密入国を支援したとして、兵庫県警が入管難民法違反(営利目的不法入国援助)容疑で逮捕したフィリピン国籍の女(54)=同罪で有罪判決確定=を中心としたグループが、フィリピン人約100人の密入国を斡旋(あっせん)した疑いのあることが23日、捜査関係者への取材で分かった。グループはフィリピンの旅券事務所などに内部協力者をつくり、正規の旅券と同じ作りの偽名旅券を入手していたとみられ、これだけ大がかりな密入国斡旋グループの摘発は、全国でも異例という。

 兵庫県警は今年7月以降、主犯格の女のほか5人を同法違反(不法滞在)などの疑いで逮捕。さらにグループの斡旋で密入国し不法滞在していたとして、長野、山梨両県警と合同で今月22~23日、同法違反容疑で大阪府寝屋川市の自称44歳の女ら5人を逮捕した。主犯格の女は、10月に神戸地裁で有罪判決を受け、11月初めに日本から強制退去となった。

 捜査関係者によると、主犯格の女は平成7年に日本人夫と結婚した直後から、過去に日本を強制退去させられたフィリピン人らを対象に不法入国の斡旋を始めた。フィリピン居住の女ブローカーを通じ、フィリピンの旅券事務所や入管当局の職員らに金銭を贈与。見返りに偽名旅券の発行や、出国審査を簡単にするなどの便宜を受けたという。

 主犯格の女は密入国の成功報酬として、1人につき150万~300万円を受け取り、これまでに1億円以上を稼いでいたとみられる。密入国した約100人は日本人と偽装結婚したり、連れ子や、その配偶者を装うなどして長期在留資格を得て、全国13都道府県に分かれて暮らしていたという。兵庫県警は不法滞在の疑いでこれまでに数十人を入管当局に通報した。

 密入国事件の主犯格となった女は、在日フィリピン人の間で「大物密航ブローカー」として知られた存在だった。密入国斡旋で得た報酬をもとに、マニラ近郊に広大な敷地の豪邸を構えているという。

 捜査関係者によると、女は平成3年に日本へ入国。大阪でホステスなどをしていたが、不法滞在が発覚して平成7年8月に強制退去となった。ところが、翌9月にはホステス時代に知り合った日本人夫と現地で結婚。別名で8年3月に再入国したという。




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