ヘリコバクター・ピロリ菌の作るタンパク質は人のタンパク質を偽装して病気をもたらす。

22日、東京大学畠山昌則教授の研究で、胃がんのメカニズムについて、新しい事実が判明した。

胃がんは日本人の死因の中でも、高い割合を占める。韓国、中国などを含めた東アジア一帯で死亡率が高く、米国では10万人中7人程度、欧州各国でも20人以下だが、日本では61人にのぼる。

ピロリ菌は自ら作ったCagAというタンパク質を胃の細胞に注入して細胞のがん化を促進する。

今回の研究では、CagAタンパク質の中にあるEPIYAモチーフと呼ばれる構造が、人の細胞内にあるタンパク質と同じ構造であることがわかった。

ピロリ菌のCagAはこのモチーフを用いて酵素と結合。細胞分裂に以上を引き起こすと判明。胃がんのメカニズム解明に向けて、大きな一歩を刻んだ。

同研究を主導した畠山教授は、胃がん予防にピロリ菌除去が絶対に必要、と語っている。

ピロリ菌はすべてが胃がんを引き起こすわけではない。欧米で見られるピロリ菌の6割はCagAタンパク質を作らないタイプだが日本ではCagAタンパク質を作る「悪玉」ほとんど。

さらに細胞増殖の異常をもたらす酵素との結合も強い、「超悪玉」が大半である。欧米に比べて日本人の胃がん死亡率が高いのは、この差による。


予防目的のピロリ菌除去について、健康保険は適用されないが、すでに症状がある場合には、保険が適用される。

対象となるのは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・悪性リンパ腫・突発性血小板減少性紫斑病の患者、あるいは早期胃がんの内視鏡摘出手術を受けた患者、となっている。