ロシアは近いうちに、外国人労働者の受け入れ枠を廃止する可能性がある。連邦移民局が作成した「ロシア連邦国家移民政策概念」では、このような提案がなされている。文書では、ロシアが直面する人口問題を、移民によって解決する事が最重要課題となっている。
 ロシアの国家移民政策に関する新たな概念は、外国人労働者の積極的な誘致に方向付けられている。文書に盛り込まれている新たな試みの中には、ロシアへの入国を希望する外国人を選抜するための採点システムの導入がある。そこでは、年齢、学歴、専門能力、適応性などが基準となる可能性がある。ロシアの大学に留学を希望する外国人には、国籍を取得する際の特恵が見込まれている。

 基金「移民21世紀」のナタリヤ・ヴラソワ副会長は、次のように語る。

ー我々は、世界の例を調べた。その結果、受け入れ枠に関しては様々な事例があることが分かった。我々が受け入れ枠を廃止した場合、その代わりとなるのは何か?なぜなら受け入れ枠は、誘致する労働者の数をそれぞれの地域や専門性に従って規制するために必要だからだ。ロシア保健社会発展省は、受け入れ枠の廃止を支持し、外国人の法的地位に関する法律の改正案を用意した。改正案では受け入れ枠に代わって、役職や専門性に従って外国人労働者を誘致できる専門リストの導入が規定されている。本質的には同じもので、「受け入れ枠」という言葉だけがないだけだ。だが仕組みは、現在よりもさらに複雑になる見込みだ。雇用者は、外国人労働者の専門レベルも記入しなければならなくなる。

 基金「移民21世紀」のヴャチェスラフ・ポスタヴニン会長は、ロシアと西ヨーロッパ諸国、カナダ、オーストラリアの移民に関する実務には大きな違いがあるものの、これらの国の政府が抱える課題はほぼ同じであるとの見解を示している。

 会長は、基金「移民21世紀」の専門家たちは、ロシア移民政策の改善に関する提案を準備したと述べ、次のように語っている。

ーノルウェーや英国で悲劇が発生した。我々はこれらを、移民政策が引き起こした結果だと考えている。我々の提案の中では、移民分野で起こっている出来事ことは、私たちの社会を破壊し、取り返しのつかない結果を引き起こす恐れのある地雷であると強調されている。

 だが、ロシア経済は近い将来、外国人労働者なしには進まないだろう。人口予測によると、ロシアでは労働力人口が2025年までに1100万人減少するうえ、労働力人口の高齢化は進む一方だ。 このようにロシアやその他の新興国では、労働力不足により、外国人労働者の誘致が必要とされている。だが、移民分野における問題および法的な欠陥を排除することが不可欠だ。

 ポスタヴニン会長によると、移民の多くが闇セクターで働いているため、ロシアは130億ドル以上を失っているとの試算が出されているという。連邦移民局のデータによると、現在ロシアには、約970万人の外国人が登録されており、そのうちの600万人が就労人口である。外国人の不法労働者はその数倍だと考えられているが、その正確な数値は明らかにされていない。




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