食器洗浄機の中は、湿気と高温という環境に加え、専用洗剤によって洗浄水がアルカリ性となる。それにより、これまで知られていなかった、人間の健康に与える深刻な脅威が存在する可能性が、研究報告書によって示されている。

研究者は世界中の家庭を対象に、101の家庭にある189台の食器洗浄機を調査した。そのうちの62%は、扉についているゴムバンドに真菌が付着していることが判明した。それらの半分以上は、健康に危害を与えることで知られる、エクソフィアラ・デルマチチジスとエクソフィアラ・ファエオムリフォルミスという黒色酵母菌を含んでいた。

真菌類や酵母、地衣類や変形菌についての学術誌である『ファンガル・バイオロジー(Fungal Biology)』において、スロベニアのリュブリャナ大学のポラーナ・ザラー博士は、「これらの黒色酵母菌が引き起こす可能性のある健康被害を、見過ごすべきではない」と述べている。ザラー博士の論文の共著者であるニーナ・グンデ=シマーマン氏は、「私達が調査した食器洗浄機で洗った食器を検査したところ、前述の黒色酵母菌が沢山付着していました。また、ナイフやフォークといった直接口にいれるものについても同様です。これがどれほど深刻なのことなのか、まだわかりません」と、イギリスの新聞、デイリー・テレグラフ紙に語った。

黒色酵母菌は、嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)という日本では比較的にまれな遺伝疾患を持つ人にとっては、特に危険性が高い。というのも、嚢胞性線維症は主に消化器系と呼吸器系を侵し、黒色酵母菌は肺を攻撃する可能性があるからだ。さらに、まれではあるが、健康な人体に対しても致死性感染症を引き起こす原因となることがある。

エクソフィアラ・デルマチチジスとエクソフィアラ・ファエオムリフォルミスは、共に熱や強い塩分濃度と洗浄成分、酸性およびアルカリ性の水に対して、驚くべき耐性を示している。食器洗浄機内の60~80度といった高温と、洗剤や塩分の使用の中でも生き延びる事ができることの説明が、これによってつくだろう。