アメリカの学者によると、「世界各地で気温上昇があまりに早く進行しています。その結果、今世紀半ばまでには比較的涼しい夏でさえ、2010年までに記録した一番暑かった夏よりも暑いということになるでしょう」とのこと。これはただ事ではなさそうだ。

米スタンフォード大学のノア・ディフェンバウ教授は、50以上ものコンピューターシミュレーションによる気候モデルと、世界中から集めた過去の気象データを分析。今後の気温上昇について調べてみた。

すると、もしも温暖化ガスの排出が現在のスピードで続くのなら、北米・南ヨーロッパ・中国など北半球の多くの地域で60年以内に極端な気温上昇を経験することが判明。今後は各地で猛暑が頻発して起こるようだ。特に、アフリカ・アジア・南米などの熱帯地域では上昇ペースがさらに早く、今後2039年までに迎える夏の7割が20世紀に記録した最高平均気温を上回るとのこと。

この影響として、大勢の人が死ぬこととなるようだ。教授はその例として、2003年にヨーロッパで発生した4万人もの人が亡くなった猛暑を挙げている。

そして猛暑は人間の健康・生態系に重大な影響を与えるだけでなく、農業生産を30%減少させるともいう。世界の人口が急速に増え続けていることを考えると、収穫量の3割減は深刻と言わざるをえない。教授はさらに、「穀物価格の高騰によって、小麦などを主食とする途上国の貧しい家庭は打撃を受けます」という。つまり、世界に貧困が広がる可能性も指摘しているのだ。

さて、以上のような研究結果を教授は出しているのだが、果たして本当にこのシナリオ通りになるのだろうか? 2~3日後の天気予報もはずれることを考えると、20年後の予測も頼りにならないかもしれない。教授の結論は、あくまで予測なのだ。それに、「2020年から太陽活動が沈静化、ミニ氷河期到来か」で紹介したように、反対の結論を述べる学者も少なくない。



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