現在使用されている一般的な抗うつ剤は効き目が出るのに早くても数日、中には8週間ほどかかるものもあるのに対し、このスプレーはわずか2時間で効力を現す。実用化されれば多くの人を救うことになりそうだ。

実験を行っているニューヨークのマウントサイナイ医科大学によると、スプレーには神経ペプチドと呼ばれる脳内化学物質が含有されている。神経ペプチド、特に神経ペプチドY という神経伝達物質は、脳が人の行動と気分を調節するのに関わっており、気分を司るノルエピネフリンというホルモンと神経繊維内で並走すると考えられている。

これまでにストレスが脳内ペプチドの放出に関わっていることはわかっていた。加えて最近のミシガン大学の研究により、神経ペプチドレベルが低い人は鬱病になりやすいということが解明された。

脳に有害な物質が入り込むのを防ぐために血液と脳の間にはバリアがあり、分子の大きい神経ペプチドYを血液中から脳内へ送り込むのは難しい。しかし匂いを感知する神経は中枢神経系へ直接繋がっているため、鼻への噴射でそれが可能になるのだ。

現代社会では女性の25%、男性の10%が、治療を必要とするレベルの鬱症状を経験すると言われている。PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの治療に有効となる可能性もあり、鼻スプレーの需要は伸びそうだ。今後の開発に期待したい。


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