今回収穫されたトウガラシは、最初にこの株を発見したButch Taylarにちなんで「トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー」と名付けられ、その辛さは最も辛いタイプのタバスコと比べても48倍以上とのこと。

トウガラシは、コロンブスによって西インド諸島から初めてヨーロッパにもたらされ、その後スペイン人とポルトガル人の手によってアフリカの植民地で栽培されて、当時ポルトガルの植民地であったインドのゴアに持ち込まれ、中国や韓国に渡り、各地で受け入れられていきました。

生化学食品の専門家であるアデレード大学のBarbara Santich教授は、トウガラシが各地域で容易に普及していったことは当然のことだとし「コショウを思い出してみてください。トウガラシが持ち込まれた地域ではすでにコショウが生産され、そこの人々はコショウの辛さに慣れ親しんでいたのです」と語っています。

近年、アジアの人々が各地に拡散していることによって、オーストラリアなどでもトウガラシを使った料理が広まっており、今回、ニューサウスウェールズ州のセントラルコーストでこれまでに無い辛さのトウガラシが生産されるに至ったとのこと。

トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーの辛さは146万3700スコヴィルを計測しており、これは現在のギネス記録を保持する「ナーガ・ヴァイパー」の138万2118スコヴィルを上回るものとなっています。ちなみによく知られているハラペーニョは2500~5000スコヴィル、最も辛いタイプのタバスコでも3万スコヴィルだそうです。

「ヤツらはヤバイ。完全にヤバイ」と語るのは生産者のMarcel de Wit氏。Marcel氏によれば「もし手袋なしでヤツらを触ったら、2日後には手が腫れるよ」とのこと。

トウガラシは通常、ソースの状態でパックに詰めて出荷されますが、トリニダード・スコーピオンの場合はこのソースを作るにも一苦労だったそうです。Marcel氏によると「僕らがこのトウガラシで初めてソースを作るためにメルボルンに行ったときは、化学マスクと完全防護服にグローブをつけてソースを作らなくちゃいけなかった」とのことで、これだけでもトリニダード・スコーピオンの凶悪さが想像できます。


なお、現在の辛いトウガラシランキングトップ10は以下の通り。

1位:トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー(146万3700スコヴィル)
2位:Scorpion cultivars and Naga Viper Chilli(125万~135万スコヴィル)
3位:Chocolate 7-pod and Infinity Chilli(120万~125万スコヴィル)
4位:7-podのその他の品種; Barrackpore, primo, yellow, red(110万スコヴィル~120万スコヴィル)
5位:The Nagas; ブート・ジョロキア, Bih Jolokia, Naga Jolokia, Dorset Naga, Naga Morich(90万スコヴィル~110万スコヴィル)
6位:Nagaとハバネロのクロス; Habanaga, Nagabon (80万スコヴィル)
7位:Red Savina Habanero(57万7000スコヴィル)
8位:Chocolate HabaneroもしくはCarribean Habaneros(25万~35万スコヴィル)
9位:ハバネロとScotch Bonnets(10万~25万スコヴィル)
10位:Tepins, タバスコ, Birds eyes(10万スコヴィル以下)


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