福島第1原発事故の影響で、福島県内の国公私立大学には入学予定者やその保護者らから「放射能は大丈夫か」などと問い合わせが相次いでいる。毎日新聞のまとめでは30日現在、少なくとも11人が「原発」や「震災」に対する不安を理由に入学を辞退した。いずれの大学も避難指示、屋内退避圏外にあり、検出された大気中の放射線量もごく微量だ。専門家は「冷静に対応してほしい」と呼びかけている。

 公立の会津大(会津若松市)には震災後、県外在住の入学予定者の母親から「放射能が心配なので辞退したい」と連絡があった。大学院でも中国人合格者1人が辞退。福島第1原発から同大は約90キロ離れており、大気中の放射線量も31日午前9時時点で1時間あたり0.24マイクロシーベルトと県内12カ所の測定地点のうち2番目に低い。同大の担当者は「全く安全だが、聞いてもらえなかった。福島は危険とひとくくりにされているようだ」と、ため息をつく。

 いわき明星大(いわき市)では、4人が震災を理由に入学辞退した。原発との関連は不明だが、同大はホームページで「福島第1原発からは約45キロの距離にあります」と明記した。「震災に関する問い合わせが多く、念のためアップした」という。

 福島大(福島市)では、県外出身者1人が「不安な心境」と言って入学を辞退したという。いわき市の東日本国際大と系列のいわき短大では計3人が辞退した。日本大工学部(郡山市)にも原発の状況について問い合わせが相次いでいる。

 福島県立医科大(福島市)では県外出身の入学予定者1人が原発事故の影響を理由に辞退した。県の放射線健康リスク管理アドバイザーを務める山下俊一・長崎大教授は「医大OBらが最前線で仕事する中でショッキングな事態」と話す。阿部正文県立医科大副学長は「入学予定者は科学的に冷静に判断してほしい」と呼びかけている



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