河南省鄭州市で路線バスを運行する鄭州交交三公司で21日、事務職員が出社した直後から、「あの金は自分のものだ」と主張する電話が、次々にかかった。現地新聞が「バス乗客が1万元(約12万3500円)を拾い、車掌に届けた。会社側は、落とし主をどう探してよいか悩んでいる」との記事を掲載したことがきっかけだった。中国新聞社が報じた。良心的な人も少なくない一方で、「だめでもともと、うまくいけば濡れ手に粟」と考える人もいる中国社会の縮図となった。

  乗客のひとりが20日、バス全部のステップに札束が落ちていたと乗務していた車掌に届けた。落とし主を探す手立ても特になく、「札束」では確認も難しいだろうと会社側も悩んだ。地元紙が翌21日の朝刊に掲載したところ、バス会社に「私が落とした」と主張する電話が次々にかかった。同日午後2時までに、21人が主張した。偶然に1万元をなくした人が複数いた可能性は排除できないが、「21人」は常識的にみて、ありえない数だ。

  バス会社職員は、落とした時の状況や落し物の特徴をたずね、1件、1件と「あなたのものではありません」と告げた。中にはそれでも「自分のものに間違いない」と主張する人もいたが、「それでは、警察に依頼します」と対応すると引き下がったという。

  最終的に、落とし主は72歳の男性と分かった。男性は金融機関で1万元の札束3つを受け取り、衣服の内ポケットに入れた。バスを降りた直後に、札束の1つがなくなっていることに気づいたという。男性が説明した状況に事実との矛盾がなく、札束を束ねた紙にあった、扱った金融機関職員のフルネームをしるした印も、男性が持っていた残りの札束にあったものと一致したので、落とし主に間違いないと判断できたという。念のため金融機関職員に改めて現金3万元を渡したことを確認してもらった上で、男性に1万元の札束を渡すことにした。

  男性は「1万元をなくした日は、食事を食べられず、一睡もできなかった。降りた停留所に立って来るバス、来るバスに尋ねたが、分からなかった」、「翌朝、新聞を見て驚いた。心が震えて朝食も食べられず、バス会社に駆けつけた」という。

  現金を拾った乗客の名は伝えられていない。



ビッグパンダの日記