北朝鮮が延坪島に砲撃を行った23日、韓国軍当局は全軍に非常警戒命令を下すなど、慌ただしく動いた。これまで北朝鮮が行った大小様々な挑発とは異 なり、今回は延坪島に海岸砲、および曲射砲で直接攻撃が加えられ、韓国の海兵隊員2人が死亡するなど、被害が続出している。韓国軍の一部からは、戦闘機で 北朝鮮の基地攻撃を求める声が上がるなど、戦線の拡大を主張する意見も出ている。ちなみにこの日は、哨戒艦「天安」沈没時も業務終了後に帰宅していたソウ ル市内の非戦闘隊員も、将校や幹部を含めて全員が帰宅禁止となった。特に一部の幹部は戦闘態勢を整え、24時間の警戒態勢に入っている。

 北朝鮮による延坪島攻撃が確認された午後3時ごろ、韓国軍合同 参謀本部は「珍島犬ハナ」と呼ばれる極地挑発への最高警戒態勢を発令し、全軍に警戒を強化するよう指示した。北朝鮮が最初に砲撃を開始した午後2時34分 から13分後の2時47分、合同参謀本部はK-9自走砲による報復攻撃を命令し、同時に「無謀な挑発行為は韓半島(朝鮮半島)の緊張を高め、南北対決を造 成する行為である。直ちに中断せよ」という内容の警告文を北朝鮮に送った。また韓国空軍からはKF-16が4機、F-15Kが4機の計8機が西海5島に緊 急出動し、必要な場合には北朝鮮の基地などを攻撃する態勢を整えていた。

 合同参謀本部は午後4時10分の会見で、「午後2時34分から2時55分の間に、北朝鮮による武力攻撃が行われ、3時10分から3時41分の間に 数十発が随時着弾した。これに対して韓国側からも数十発の報復を行った」と明らかにした。また午後3時55分に韓国軍は、南北将校級会談の韓国側代表名義 で北朝鮮の団長宛にファクスを送付し、「直ちに挑発行為を中断せよ。挑発が繰り返された場合には、断固とした対応をとる」と通告した。合同参謀本部の韓民 求(ハン・ミング)議長は、午後3時40分から4時まで、シャープ韓米連合司令官とテレビ電話で協議を行い、連合危機管理を宣布するかどうかについて話し 合った。

 午後4時前後には、李明博(イ・ミョンバク)大統領が大統領府の担当者を通じ、「戦線が拡大しないようしっかりと管理せよ」という内容の指示を下 したと報じられた。これに対して軍関係者の一部からは、「大統領がこのような指示を出したのは本当か」という反応が相次いだ。その後4時30分ごろ、国軍 首都病院に移送されていた韓国軍兵士一人が死亡したとのニュースや、朝鮮人民軍が午後3時10分から41分まで30分にわたり海岸砲と曲射砲で再び攻撃し てきたことなどが伝えられると、合同参謀本部の周辺からは、「戦闘機で北朝鮮の陣地を攻撃すべきだ」「全面戦争も覚悟しなければならない」という声も出始 めた。しかし合同参謀本部はその後の会見で、「午後3時41分にわが軍が報復攻撃を行ってからは、北朝鮮からの海岸砲攻撃は1時間以上ストップしている」 と発表した。

 合同参謀本部作戦本部のイ・ホンギ本部長(陸軍中将)は、この日午後6時40分からの会見で、「韓国軍の被害は拡大し、海兵隊員18人(戦死一人 を含む)の死傷と、民間人3人が軽傷を負った事実を確認した」と述べた。その後、午後7時が過ぎると重傷を負った兵士一人が死亡したとの知らせも伝えられ た。合同参謀本部は、「(海岸砲を発射した)基地に集中攻撃を加えたため、北朝鮮でもかなりの被害が発生しているはずだ」との見方を示し、深夜に入っても 朝鮮人民軍の動きを注視しつつ、延坪島に救援軍を派遣したことを明らかにした。また「珍島犬ハナ」が発令されている西海5島以外の地域に展開する部隊から も、一定割合以上の将校や士官が24時間体制で警戒に当たっている。ある将校は、「夕方以降、指示があるまで警戒を緩めないよう指示が下された」と話し た。




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