景色が変わった。


親友の故郷にたどり着いた。

未だ。

まだだ!


恋人の家まで後数㌔だ。

もうすぐあんたの願いを叶えて見せるから、もう少し待っててくれ。


走って 走って 走ってーーー転んだ。

すでに満身創痍だった。

こんな所で倒れていられない。

立ち上がろうとする間にも絶え間無く襲い掛かる罵声と暴力。


黒い体が赤い何かに染まってく。

負けるか。
負けるか。
だって俺は“Holy Night”
ちぎれそうに痛む手足を必死で動かした。
引きずってでも良い。

はいつくばっても辿り着いてやる



何がなんでもこの手紙だけはーーー




走った。


黒猫は満身創痍だったが、それでもなお走った。

そしてとうとう恋人の家を見つけた。
この家だーーー



剥がれた爪で扉を掻いた。

しばらくして出て来た恋人に赤の混じった白い手紙を渡す。

恋人が手紙を読み終わるより早く、黒猫は意識を手放した。


手紙を読み終えた恋人は、足元で動かなくなった黒猫を悼んだ。


そして庭に小さな墓を作った。

彼が大好きだったであろう絵描きの遺品を一緒に埋めてやった。


“Holy Night此処に眠る”

恋人は一文字付け加えた。そして、
“Holy Knight此処に眠る”
『聖なる騎士』を埋めてやった。



~次回ラスト~