その少年だけは声も出さず泣き出しもせず薄笑いを浮かべている。


不良少年はどこでも同じシンプルな力関係で生きていて、グループ内における自分の境遇に応じた態度を無意識のうちに取るようになるものだ。


あいつは他の連中にいつも苛められている、だから圧倒的な強者が現れて仲間がパニックに陥り泣きわめくのを見て楽しんでいる。


それだけではない。あの灰色の髪のチビは機転がきく。


ああいう態度の奴は1、2年苛められても復讐はせずに、からだが大きくなって復讐できる時期を待っているし、


その気になれば自分が他の誰よりも賢く、残忍であることも知っている。


第一、あいつだけがパニックになっていない。トラブルが深刻であればあるほどパニックになっては助かる見込みが減ることを知っているのだ。