アレックスはつい最近18歳になりました。アメリカでは18歳になると法律上成人になります。なので、アメリカでは昔はよく18歳になったら家から出て自立する、というのが普通の考えでした。今は経済状況が悪いので少し変わって来ましたが。

 

アレックスは1歳6ヶ月の時にロシアの孤児院から双子の妹と共にアメリカに養子として来ました。産みの親については情報は余りなかったのですが、小さい時に胎児性アルコール症候群の診断を受けました。

 

 

E-ヘルスネットによると「妊娠中の母親の飲酒は、胎児・乳児に対して低体重・顔面を中心とする奇形・脳障害などを引き起こす可能性があり、胎児性アルコール症候群と言われます。」アレックスの場合は、少し脳障害があり特別学級に通っています。

 

アレックスと彼の両親がセラピーに来た時、アレックスは大荒れでした。家では家具やドアを壊したり、壁に拳で穴をあけたり。彼の両親によると、この行動はセラピーを始める3ヶ月前に彼とガールフレンドが別れたことがきっかけで始まったそうです。

 

 

                         

 

セラピーを始めた頃、両親は途方に暮れている上に、とても怒っていました。アレックスに、「物を壊し続けたら、18歳になったら家から出て行ってもらうからね!」「こんなに物ばかり壊してたら、私はもうあなたのことは好きじゃない!」など言うようになってしまいました。両親はどちらもキャリアで成功している人たちだったので、私の意見を聞くと言うのは大変だろうと考えました。1ヶ月くらいかけて、親との関係を強くする努力をしました。

 

親の信頼を得たときに、親に私は提案をしました。例えアレックスが18歳になって家を出ることになっても、否定的な状況で行くのではなく、大人になったからというお祝いの形で出ていくような方向に向かおう。そのためには、いくら腹が立っても、アレックスが家から出たら嬉しいとか、ほっとするという否定的なことは言わないように提案しました。親は本当に頑張って、否定的なことを言わないようにしました。

 

またアレックスは産みの親からある意味では「捨てられた」と感じていました。そしていつも心の底で「人はいつか僕のことを見捨てる」という恐怖があるのです。ある日、私は、「アレックス、あなたの両親はあなたを捨てない。産みのお母さんがどういう理由があったて、あなたを養子にしたかは分からないけれども、あなたの両親は一生あなたのそばにいるんだよ。」と言い聞かせました。その言葉を聞いた時のアレックスの顔を忘れることはできません。ほっとしたような顔でした。両親もびっくりしました。なぜなら、両親は彼が自分が養子であると言うことは大きくなった今では全く問題なく幸せに感じていると思っていたからです。多くの養子になった子供達は良く人生の節目に産みの親や自分が養子になった事などを思い出します。ガールフレンドと別れた時、卒業式、クリスマスなどのお祝いの時、など。

 

アレックスの問題行動については、アレックスの良い行動に注目して、褒めることを続けてました。そして8ヶ月のセラピー後、今、アレックスは問題行動を全くしていません。両親もアレックスを誇りに思っています。

 

今朝お母さんは、「アレックスは別にいつまでも私たちの家に住んでも良いわ。」とセラピー中に言われました。8ヶ月前の「アレックスとは住めない!」と言っていた状態とは全く変わりました。

 

今朝、アレックスの心からハッピーな顔を見て私もハッピーになりました。