私のトラウマの第一のクライアントは14歳の女の子、アンでした。アンは学校に行くのを嫌がり、友達も全然いませんでした。鬱の気配もありました。

 

 

第一のセラピーセッション。待合室に向かって廊下を歩いている時、私はドキドキしました。セラピーの準備は満タンでしたが、トラウマ第一号のクライアント!アンと気が合うか?彼女を理解できるか、等、いろいろ心配しました。待合室に行くと、アンらしき女の子が祖父母と一緒に座っていました。アンの目は携帯に引きつけられて、アンの見かけは怖かった。機嫌が悪そうで、なぜ、セラピーをしないとダメなの?という不満がアンの体から、ジワジワと発信されていました。この一番始めのセッションでの一番始めの彼女の言葉は、「私は一目でその人が好きかどうか、決めるの。」「ギエー。怖い」と私は心の中で叫びました。

 

ところで、彼女の両親はアンが小さい頃に麻薬の中毒になってしまい、アン (当時6歳)、彼女のお姉さん (当時8歳)、妹そして弟をほったらかしにして麻薬に溺れたようです。始めの頃は、アンのお姉さんがお母さんの代りになり、アン達の世話をしたそうです。アンのお姉さんとアンのお母さんは同じですが、違うお父さんから生まれました。しばらくして、アンのお姉さんの実父が、実情を知りお姉さんだけを引き取りに来て、アン、弟と妹を残して去っていきました。その時、アンはまだ7歳でしたが、お姉さんが去ったその日から5歳と3歳の弟と妹の世話をし始めました。色々な事が起こり、アンは8歳の時に彼女の祖父母に引き取られました。

 

 

アンは人をなかなか信用できませんでした。私を信用するようになるまで、2ヶ月かかりました。変化が訪れたのは、彼女の誕生日のお祝いに、セラピーの時に私がドーナッツを持って行った時です。その時のアンの顔を忘れることが出来ません。アンの顔は「覚えてくれてたの?」と。あの日から、私達の関係が深まったのを感じました。

 

彼女は約2年くらいセラピーをした後、セラピーを卒業しました。セラピーを終えた時、アンには友達がたくさんいて、そして学校も楽しく行けるようになりました。アルバイトも始めて、人生をエンジョイすることができるようになりました。

 

(実名ではありません)