行きつけのカラオケスナックに寄ってみた

「パパ! いらっしゃい」

インディーズなアイドルが満面の笑顔でカウンターに寄ってくる



「ねぇ 無いと辛いね…」

悲鳴にも似た叫びが聴こえてくる



私の人生



希望に向かって

手を抜いているわけではない

決して

サボっている訳でもない



なのに

日々生きるのに

苦痛を感じることがある

「相棒なんかとうとう電燈が灯らなくなった」

私も

照明が

温水が

お腹が

なかなか

満に足っしてくれない



思わず口から東京のパパに

漏れてしまった

「無いと辛いね」

……



田舎からでてきて

頑張ってる

あんなちゃん

娘と同い年



夢に向かってるとはいいながらも

日々時を重ねる

混沌としたご時世

「しんどいよね」



君の人生

例え手を差しのべることができても

野生には冒してはいけない領域がある



君の描いたこの先の

輝かしい夢希望

ひとの野生の先には

必ずや

ハッピーエンドが待ってる



思わず心がもれてしまった

「へこたれるな! あんな!」

……



ママにお愛想してお釣りを受け取る

お釣りを数えるときに呼び寄せた

「あんな! こっちおいで」

「はぁ~い パパ!」

「お金の数え方知ってる」

「ううん 知らない」

「こうして一枚ずつ感謝して数えるんだよ」

「はぁ~い」

三人の野口英世に あんなの夢が届きますようにと 願いこめてあんなに手渡した

「あんな! お小遣いあげよう!」

「そやけど 辛いとか言うな!」

「はい!」

「ありがとうございます! 大切に使います」



人の行く道 茨なことが多い

現実は確かに辛いことも多い

でも 夢希望 理想を携えて進めば 行く末には御来光が待ってるはず

「あんなにも待ってるよ」