そろそろ
彼岸行き列車の出発時間
「おい! そろそろ行くよ」
振り向くと
長年の俺がかけた苦労のせいだろうか
立ちすくみながらうたた寝
そっとマフラーをかけて
君の唇にお別れ
目覚めたときに
パニックにならないようにメモする
「見送りありがとう」
「もう行っていいよ」
「おまえが何処にいても見守ってるからね」
これじゃ立ち往生するか?
涙の雫で修正液にして
「行け」
と
作/江彰 透
。。。。。。
『此処が何処でも』
此処は
深い深い
海の底なのか
此処が
高い高い
空の上なのか
それとも
森の茂みの
中なのだろうか
と
変わって行く景色に
戸惑い
立ちすくむ
ただ
あなたの瞳が
振り返らずに
「行け」
そう言ってるようで
私は
あなたさえ
いてくれたら
それでいい
と
あなたの
唇に
唇を
そっと寄せて…
作/愛香