家路について、一日の疲れをアルコールで癒していた。
そんな最中に携帯からJujuの着メロが鳴る。
こんな時間に誰だろう?
こんなと言いながら、まだ22時前。
ただ、アラフィフになってからというもの、
すっかりプライベートでの交流も少なく、
また、かれこれ彼女居ない歴も二桁の年月になっている。
決して独身主義ではなく、なかなか自身のなかで、エンジンがかからない。
そんなことを思いながら、携帯画面を見ると。
スマートフォンの画面には、着信、晋介先輩と写っている。
ん? 晋介先輩?
中学時代バレー部の一学年うえの先輩。
また晋介先輩の奥さんの知美先輩と
僕の初恋の彼女美子と三人は幼馴染。
ただ、美子は今から35年前の、若干17歳であの世に召された。
去年の命日は先輩たちと、数十年ぶりに再会して、親交を懐かしんだ。
ただ、
突然の先輩からの音信に?マークを目の前に飛び散らしながら。
「はい 淳で~す!」
「淳?」
「はい!」
「突然にすまん」
いつもの先輩らしくない話しっぷり。
「どうしたんですか?」
「じつは今さっき、知美が倒れて、救急で運んで…」
突然の知美先輩の危篤をきいて、駆けつけることにした。
「先輩! 今からだと深夜バスがあるので行きます。」
「大阪着いたら、また電話しますね」
思春期のころ美子のショッキングな痛手を、その後やけになったこともあって。
そんなとき、晋介先輩もさることながら、なんといっても知美先輩の叱咤激励や、
知美先輩の流した涙は、僕の心を力づけてくれた。
僕のパートナーができると大喜びしてくれ、
また離縁すると、人生いろいろあるよって慰めてくれて。
ひとそれぞれ寿命はあるとはいえ、
彼女には、もっともっと人生をエンジョイしてほしい。
そして、できることなら、彼女まで見送ることはしたくない。
そんな願いを秘めながら、晋介先輩と再会した。
どうも不整脈から意識失墜したらしい。
ただ、対応が早く僕が駆けつけたときは、意識は戻って大事にいたらなかった。
「先輩! 面会して大丈夫ですか?」
「うん いいよ!」
「あのな、知美には、おまえが駆けつけたことしらせてないねん」
「淳! その前に話しておきたいことあるんだけど」
少々寝不足もあり、思考回路もショートしがちで、
先輩の奥歯に挟まったような話に理解できなかった。
「先輩! らしくないですよ、なんでも言ってください」
意味深な晋介先輩から過去の出来事を30年ぶりに明かされた。
僕は、当時中学のころ、美子にラブよりあこがれの存在。
卒業してほどなく、お互いのタイミングがあって恋愛に発展した。
僕と美子は運命のいたずらから、永遠の別離になったけど。
晋介先輩たちは23歳のころ結婚して、その後の人生もパートナー。
それが、僕のしらないところで、そんなことがあったなんて。
「淳! 昔中学三年のときに、始めて美子が、バレンタイン買ったのしってるやろ」
「はい! 結局あの時は貰えませんでしたけど」
「じつは、あのとき知美も買ってたんだよ」
「ええ! 先輩もらったんでしょ?」
「ううん! あの時はまだ、幼馴染の間柄だっただよ」
「知美も、美子と同じく、お前に買ってたんだよ」
「二人とも、双子の間柄のような親友だから、恨みっこなしねって」
思わず絶句してしまった。
続けさまに、その後にあったことを晋介先輩の口から。
「その後、おまえが美子と付き合い始めて、しばらくたってからだよ」
「俺たちが恋愛に発展したのは」
「それとな、美子があの世に行ってから」
「お前が、がんばって立ち直ろうとしているころ」
「そして、立ち直ってからも、しばらく特定の彼女を作ってないころ」
「じつは、知美から別れを切り出されて、別れた期間あったんだよ」
「知美の、淳への心情なのか? 美子への想いなのか? わかんないけど」
「ただ、俺もそうやけど、お前の幸せを、なにより願ってるのは確かやと思う」
先輩に深々と頭をさげて、知美先輩の病室に向って行った。
「知美先輩!」
突然の見舞いに
「ンモォー! 淳君!」
「びっくりして、また意識なくなるでしょ」
知美先輩の笑い声が暗くなりがちな病室を輝かせていた。
「知美先輩!」
「僕が彼女みつけて、幸せになるまで」
「あの世のキップ買ったらあかんで」
「はぁ~い♪」
「淳君! ほんと」
「はっぴーえんどしてね」
知美先輩!
心の底から親愛してますよ
ご心配してくれて
ありがとうございます。
。。。。。。
当創作をもちまして
この場所での執筆は
無期限お開きといたします。
永らく
ご愛顧いただき
誠にありがとうございました。
by メロウスカイ
by 江彰 透