【第一話】
『第二話』 ラブソング Bメロ(承・転)
順番待ちをしながら、彼女と自動車教習の話に華をさかせていた。
「次の方!」
教習所職員の呼び声が
「アァー 僕だ!」
彼女に無言で、会釈しながら、
席を立ってカウンターに向っていった。
でも、心に中では、彼女をひと目見たときの衝撃。
このまま、通り雨のように、
過ぎ去っていいのだろうかと、葛藤していた。
次の予約を入れ終わって、振り返って彼女を見ると、
彼女の視線と再び合い間見える。
「通り雨なんかじゃない!」
心の叫び。
帰路に向うことなく、再び彼女のもとに。
「よかったら、お茶でもどう?」
単刀直入に言葉を発していた。
「ハイ!」
こうして、
彼女は、自転車を引きながら、
一緒に最寄駅近くの喫茶店に向っていった。
喫茶店では、摩訶不思議に、お互いの素性話はすることはなかった。
未だに、何を話し合っていたのか思い出せない。
ただ、数時間は過ごしていた。
尽きることのない時間の中で、
「この後どうするの?」
「今日は、ブティックに服を取りに行って 帰るの!」
「そっか!」
僕は、その後予定がなかったので
彼女のお供をすることにした。
喫茶店を出て、駅に二人で向かい自転車を止めた。
そのとき、彼女が話しかけてきた。
「ねぇ! 自転車見て 何か気がついた?」
今まで数時間の中で始めての、切ない表情。
「うん! ママチャリだね!」
「それが どうしたの?」
そのとき、始めて彼女の素性に気がついた。
でも、僕の中では、彼女の素性以前に、心は動いていた。
落雷のように愛が突如、産まれていた。
その後、ブティックに向う地下鉄の数分の中で、
素性を明かしてくれた。
彼女には三歳の女の子が、旦那とは子供が生まれてすぐ別居。
そして、彼女は僕より八歳年上。
僕は意に介せず、世間に鈍感なのかもしれないけど
そのときは、お互いの素性などしらずに、
ただ数時間過ごした、お互いの縁を続けて生きたいと・・・
彼女にその日の別れ際に
また
「会いたい」と言って
その後
彼女と春・夏・秋・冬と時を重ねていった。
二人だけのときもあれば
彼女の娘と三人のときもあった。
二人のエピソードは、数え切れないぐらいあるけど
二つあげなさいって言われたら。
ひとつは
4月から付き合って、梅雨時の七月の初旬に
職場の事務員から
「女の人から電話です!」
ぶっきらぼうに取次ぎされて
「もしも~し」
「ごめんね! 忙しいのに!」
彼女からで、切羽詰った声だった。
「どうしたん?」
職場に関わらず、思わず、私語で会話して
なにやら、病院に緊急入院したみたいで
詳しくは聞く間もなく
声が聞きたかっただけと、一方的に切られて
あっけにとられながら
その後の仕事はこなした。
その日の仕事を終えて、
聞き出した病院に向った。
ナースステーションで状態を聞くと、
急性盲腸で
ご安心くださいとナースから
血相を変えていた僕に話してくれたこと。
そしてもうひとつは
秋ごろの
あるデートの別れ際に
「ねぇ あなたと このまま 駆け落ちしたい!」
彼女は、親御さんに僕との交際を打ち明けていた。
二人にとって
世間体など、決してよいとは言えなかった。
僕も、確かに滅入ることもあった。
ただ、今はこんな状況でも・・・
「なにいってんの!」
「ちゃんと 一緒になろう!」
周りの理解がないことを聞いて
その後数日後、彼女を連れて
彼女の親御さんに、
「確かに僕は、若造だけど 彼女を愛しています!」
「真剣につきあっています」
周りの理解などどうでもよかった。
ただ、彼女に僕の誠意をわかってほしくて
無謀にも周りに宣誓していた。
そして
その年を越して
一月の中旬ごろに
技能教習は早々と終わっていたけど
学科教習が停滞して
教習所のタイムリミットぎりぎりで
終わることが出来て
免許の交付の日。
この日は、
彼女と初ドライブの約束していた。
彼女に試験場から連絡した。
「やっと 免許もらったよ!」
「そう! おめでとう!」
「じゃ 家帰ったら、車出すからね!」
「うん!」
「たぶん 二時間後ぐらいだから」
「帰ったら電話するね!」
試験場から最寄駅まで事故渋滞で時間がかかり、
家路に着いたのは三時間ぐらいかかった。
そして、彼女に電話した。
「ぷるる・・・ プルル・・・」
呼び出し音はなれど、彼女とは連絡が取れなかった。
そして、翌日も翌日も、
その日以降、音信が取れなくなった・・・
【第三話】