君のなかの孤独を照らす



「ねぇ 淳」

突如30年の歳月を超えて、なつかしい声が。

「オオオォォォー よっこ?」

「うん」

「ひさしぶりだね、ところで、どうしたん?」

「うーん お願いがあって 来ちゃった」

お願い!? よっこのお願いって無理難題多いからな・・・

わざわざ、来たんだから、とりあえず聞いて見るか。

「はいはい なんですか?」

「淳! 私の後、連敗続きだけど、何度か恋したでしょ」

思わず「おいおい」って出る言葉を飲み込んで、続きを聞いてみた。

「ただね ここ数年 双眼鏡が故障して」

「覗けてないんだけど」

「恋してる?」

はぁ!? ひさしぶりに会いに来て、いきなりなんなんだよ。

ただ、少し引っかかる縁は、あるようなないような?

「別に!」

すこしとぼけてみた。

「またまた」

「最近の淳の恋温計計ったら」

「40度あるよ」

「淳の恋温計、心配だから毎日計ってるんだよ」

「はぁ、そんなもん計るなよ」

「あはっ♪」

「そんなことより、お願いってなんですか?」

「淳、今の恋熱ね」

「私とダブらせて 解熱剤飲もうと思ってるでしょ?」

よっこにかかったら、なにもかもお見通しだな。


「よっこ」

「はい」

「じつはね」

「うん」


「今まで経験した感性とはどこか違和感がある」

「それとね、確かによっことの縁がダブってるかもしれない」

「だからこそ、正直できることなら避けたいって気持ちもあるよ」

「ただね」

「たとえ時限の恋でも」

「心は再び動き始めているよ」

「もちろん 相手が許してもらえたらなんだけど」

「よっこのときと」

「いや」

「それ以上に」

「僕の命を捧げて」

「光を、照らすことができればって想ってるよ」

「再び、絶壁から落とされてもかまわない」

「彼女の余命に優しい光を捧げたいって」


「アレ?」

「よっこ 聞いてる?」

「よっこ!」



「淳!」

「お願いにあがるまでもなかったね」

「淳!」

「いつも無理難題ゴメンネ」