【第二話】 気になる先輩


手狭な店内から、

ざわめきく声が遠のいていく。

あの懐かしい、

広々とした空間に、

いつしかワープしていく。



「それでは、一年12組集合!」

担任の先生が点呼する。

無事、高校に入学し、

入学式の翌日、

最初の授業が一泊二日のレクレーション。

集合すると、

出発前の注意事項などを読み上げていた。

「これから行くところは・・・」

先生の話をそっちのけで

入学早々の緊張と

見ず知らずの同級生らで

落ち着く術もなく

あっち向いたりこっち向いたりしていた。

この高校はまだ、

出来立てホヤホヤで

僕で二期生。

運動場や食堂など、

まだまだ未完成なところがちらほらあった。

そんな出発前のなか

つるむのは、自然に同じ中学の友達。

僕の中学から進学したのは、

学年生徒540人中男子が、

あいつとこいつともろもろ、たったの5人。

女子があの娘とこの娘やらで7人。

公立のせいか、どうしても近場の中学からが多かった。

僕は運良く、

同じ野球部の木村と筒井が同じクラスになれた。

先生の注意事項の話も終わると

最後に、

先生の横の学生服を着た人を紹介する。

「今日明日、ガイド役として」

「同伴してくれる一期生の先輩たちだよ」

「困ったこととかあったら」

「いろいろ教えてもらいなさい!」

男女四人の先輩を紹介してくれた。

こうして、レクレーションへ、

貸切バスに乗り込んで行くことになった。

バスの席順は、決まってる訳ではないけど、

なぜか、

先生から遠い後ろの席には、

悪がきそうなのが集まる。

僕ら三人は、

自然に後ろの方へ先を急いで陣取った。

そして見渡すと

女子が前のほう、

後ろは男子で埋め尽くされた。

そんな縦で割ったような

紅白なバスが山間へ出発していった。

ただ、僕は、

バスに乗り込むとき、

微笑む顔が素敵な先輩に会釈されて、

学園生活初日の緊張が、

ほぐされていった。