「ねぇ あなた もう お昼よ」

「うーん」

「もう少し寝かせて!」

「はーい」

家内はあっさり引き下がった

ってゆうのも

ここしばらく、年度末で仕事がバタバタ。

今日は二週間ぶりの休みだけど

さすがに

中年の身体は悲鳴をあげぎみ。

家内は身体が資本なんだから

酷使したらだめよって

注意してくれるけど

そうはいっても企業戦士

中間管理職ってなかなか

(お先!)って言いにくいんだよな

部下は

(課長! どうぞって)

言うけど。

ただ、内の部下はどいつもこいつも

気遣いが上手な

いいやつぞろいって思っている。

営業はある意味

お客さまの

痒いところに

さりげなく手を届かせてあげれるぐらいでないと

商品説明以前に終わってしまう。

そういえば

今の本部長が

よく 言ってたな!

元NHKのアナウンサーの

(気配りのすすめ)

のように

「いいか!みんな! 内の事務機を売るんじゃないぞ」

「みんなの愛社精神を広めるんだ!」

「そして成約したら物を配るんじゃなくて」

「感謝の気持ちを配るんだぞ!」

いまは

営業一課をしきっているけど

本部長の指針はいまでも染み付いている。


「さあ そろそろ 起きるか!」

「おーい 明美! 起きるぞ!」

「はーい!」

寝室を片付けに家内がやってくる

久しぶりに明美とどっか行こかな?

って考えながら声に出す


「明美! どっか出掛けようか?」

「ほんと!」


明美とは社内恋愛。

それと 同じ営業部署。

昔から 

休日のデートはタイミングが合わなくて

ほとんど

仕事のアフターデートが多かった。


疲れのせいか

頭のチャンネルが

テレビのリモコンのように

切り替る。


「お忙しいところ すいません!」

「街頭インタビューなんですけど」

「協力いただけませんか?」

「うーん 別にいいけど」

「ありがとうございます。」

「それでは さっそく質問に 現在 奥様はいらしゃいますか?」

「うん いるけど」

「はい」

「では 奥様のいろんなところの中で」

「一番 惚れられたのは どんなところでしょうか?」


明美の

どこに惚れたって?

うーん!


まぁ 

手前みそで

美人

かわいい

スタイルがいい

明るい

やさしい

きびしい

料理がうまい

いろいろあるけど



なんていっても

あいつの一番は

感受性が豊かで

感動することが好きなところ


あいつの一番は

物事に悲観しない

物事を批判しない

受け入れる器量を広げているところ


そして

あいつの一番は

創造力豊かで

心の洗濯が上手なところかな!



「そんなところかな!」


あれ!

インタビューさん?





「あなた!」

「もう お昼だけど 大丈夫? お腹減ってない?」


ん!

なんだ

夢か?


「明美! 起きるから」

「明美の好きなところに行こう!」


「ほんと うれしい!」