「もしもーし 里美?」

「うん!」

「今度の土曜のデートなんだけど」

「うん!?」

「ちょっと 行きたいところあって」

「キャンセルしていいかな?」

「うん! わかった・・・」


・・・・・・・・・・・・


君が

いつしか

屈折したときに

戻ってみた

曲がりくねったときに

引き返してみた



足元や周りを見渡しながら

君は

「どれくらいつまずいたんだろう」



曲がりに気をとられながら

君は

「どれほど歩けたんだろう」



前ばかり向いていて

あの時はわからなかった



君が

必死に

掴んでいたいた手が

いつしか

離れていたのに



自分を道しるべにしていた

あの頃がよみがえる



ふと空を見上げてみると

鳥や木々や雲が

曲がりくねった道を

先導してくれている



曲がった道も 

屈折した心も 

自然のマジック



自然を道しるべにすると


自然を先導にしてみると 



曲がって見えた道も 

屈折して見えた心も  

「まっすぐだろって」

空耳のように聴こえてくる



もうどれぐらい 戻れたんだろう

君を先導していくあの道に


前から聴こえる

自然の声を聞いてみよう


後ろから感じる

君の鼓動にも耳澄まそう


・・・・・・・・・・・・・


「もしもーし 里美!」

「うん!」

「明日の日曜出勤 キャンセルするから」

「どこか 山間を 散歩しに行かない?」

「はぁーい!」