何時からか

想いだすことがなくなっていた

遠い記憶の中に仕舞いこんでいた

記憶は甦るって聞いたことがあったけど

何時の間にか

聞いたことすら何処かに置き忘れていた


機体が突然揺れだす

乱気流に巻き込まれている

思わず脳が覚醒する

機内アナウンスが遠のいていく

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「ねぇ」

聞き覚えのある声が

「あなた」

愛くるしい声が

記憶を呼び起こす

「やさしい言葉より」

「叱った言葉が多かったね」

君の瞳から 大粒の涙が

お互いの瞳から 透きとおった涙が

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さらなる機体の揺れが

遠い記憶から目覚めさせる

いつしか 機体は着陸態勢に

機内アナウンスが近づいてくる

天に近い空で甦った 一瞬の記憶

また いつか 何処かで

甦りたい

記憶の奥底から